仕訳を簡単にわかりやすく簿記3級合格レベルへ-第23回繰延べ-

投稿日:2017年9月24日 更新日:

簿記3級を独学で勉強やネットで勉強。全く初めてだと不安もあります。しかし、勘定科目に借方、貸方とルールが何だか難しいイメージあります。仕訳とは、簿記を基本として、会社では経理部門が管理するお金(会計)の取引記録です。簿記3級合格レベルの知識を独学でできるように最後まで説明していく23回目です。勘定科目と借方、貸方の仕訳と5つのグループ、勘定科目一覧もイメージできるようにしましょう。前回は、資本金、引出金についてでしたが、今回は、費用と収益の繰延べについてです。資格試験を受ける場合には、これをベースに問題を多く解いて仕訳数をこなしていきましょう。また、経理チームや会計管理をする方々や業務に関係がなくても損益計算書や貸借対照表のような財務諸表を見ていくためにビジネスマンは知っておきたい内容です。

繰延べとは

費用の繰延べ

決算日に行われる処理。当期に支払った費用に次期以降分も含まれている場合に、次期以降分の費用を当期分から差し引く処理をすること。

収益の繰延べ

決算日に行われる処理。当期に受け取った収益に次期以降分も含まれている場合に次期以降分の収益を当期分から差し引く処理をすること。

例えば、期中に家賃1年分を支払ったり、受け取ったりするとこの処理が必要となります。

費用

取引:A店は店舗の家賃1年分200,000円を小切手を振り出して支払いました。

家賃を支払ったときには、支払家賃(費用)を勘定科目として処理をします。

< 勘定科目 >

  • 支払家賃(費用):事務所や店舗の家賃の支払い

当座預金(資産)200,000円の減少 = 貸方
支払家賃(費用)200,000円の発生 = 借方

費用の繰延べ

取引:(会計期間1/1〜12/31)12/31決算日、A店は10/1に支払った1年分の家賃200,000円の次期分を繰延べました。

先例で家賃の仕訳をしました。

1年分200,000円の支払いのうち、10/1〜12/31の3ヵ月分は、当期の家賃。翌年1/1〜9/30までの9ヵ月分は次期分の家賃です。決算日がきているので1年分のうち次期分の家賃は減らして、当期使用した分だけの家賃(費用)を帳簿に残す処理をします(繰延べ)。そこで、次期分の月割りの費用を出します。

1年分家賃200,000円 x 次期9ヵ月分 x 12ヵ月(1年間)

= 150,000円

この150,000円は次期分の家賃です。つまり当期分は、50,000円です。先ほどの仕訳の200,000円は、次期分も先に支払っています。この前払いしている次期分家賃を“前払家賃”という勘定科目を使って減らします。先に支払っている分だけサービスを受けられるという意味で資産グループとなります。

< 勘定科目 >

・前払家賃(資産):前払いしている家賃。先に支払っている分だけサービスを受けることができるので資産グループ

支払家賃(費用)150,000円の減少 = 貸方
前払家賃(資産)150,000円の発生 = 借方

これにより、帳簿上には”支払家賃”としては、当期分50,000円が残ることになります。また、この”前払◯◯”は家賃だけでなく、前払地代(土地代)や単に前払費用としても使われます。

費用の振替

決算日を終え、次期分として繰延べた費用は、期首にまた元に戻します。これを再振替仕訳といいます。

先の決算日で前払家賃としていたものを支払家賃に戻す処理をします。その際は、単純に逆仕訳をして当期の費用にします。

これにより、前払家賃が減り、決算日に次期分としていた支払家賃が当期の費用として計上されました。

収益

取引:A店は店舗の土地をB店に貸し、1年分200,000円を小切手を受け取りました。

土地代として受け取ったときは、受取地代(収益)を勘定科目として処理をします。

< 勘定科目 >

  • 受取地代(収益):土地代として受け取る収益の勘定科目

現金(資産)200,000円の増加 = 借方
受取地代(収益)200,000円の発生 = 貸方

収益の繰延べ

取引:(会計期間1/1〜12/31)12/31決算日、A店は10/1に受け取った1年分の地代200,000円の次期分を繰延べました。

先例で地代の仕訳をしました。

1年分200,000円の受け取りのうち、10/1〜12/31の3ヵ月分は、当期の地代。翌年1/1〜9/30までの9ヵ月分は次期分の地代です。決算日がきているので1年分のうち次期分の地代は減らして、当期使用した分だけの地代(収益)を帳簿に残す処理をします(繰延べ)。そこで、次期分の月割りの費用を出します。

1年分地代200,000円 x 次期9ヵ月分 x 12ヵ月(1年間)

= 150,000円

この150,000円は次期分の地代です。つまり当期分は、50,000円です。先ほどの仕訳の200,000円は、次期分も先に受け取っています。前受けしている次期分地代を“前受地代”という勘定科目を使って処理します。先に受け取っている分だけサービスを提供しなくてはいけないという意味で負債グループとなります。

< 勘定科目 >

・前受地代(負債):前受けしている地代。先に受け取っている分のサービスを提供しなくてはいけないため負債グループ

受取地代(収益)150,000円の減少 = 貸方
前受地代(負債)150,000円の発生 = 貸方

これにより、帳簿上には”受取地代”としては、当期分50,000円が残ることになります。また、この”前受◯◯”は土地だけでなく、家賃や単に前受収益としても使われます。

収益の振替

 

期首に費用同様、再振替を行い、次期分としていた分を元の収益に戻します。

まとめ

繰延べについて説明してきました。前払〜と受取〜をきちんと理解することがポイントです。頭の中で帳簿が今どんな状態かが浮かんでくれば、かなり上達しています。そして、それをイメージできることは重要です。あとは期首に振り替えることを忘れずに行うことです。

勘定科目一覧

資産グループ

  • 前払家賃

負債グループ

  • 前受地代

収益グループ

  • 受取地代

費用グループ

  • 支払家賃

基礎から始めたい方は、こちらです。→
基礎編:借方貸方どっちの覚え方。左右どっちに迷う仕訳を簡単に-基礎編-

第1回:仕訳を簡単にわかりやすく簿記3級合格レベルへ-第1回商品売買-

第2回:仕訳を簡単にわかりやすく簿記3級合格レベルへ-第2回現金-

第3回:仕訳を簡単にわかりやすく簿記3級合格レベルへ-第3回当座-

第4回:仕訳を簡単にわかりやすく簿記3級合格レベルへ-第4回小口現金-

第5回:仕訳を簡単にわかりやすく簿記3級合格レベルへ-第5回手形-

第6回:仕訳を簡単にわかりやすく簿記3級合格レベルへ-第6回為替手形-

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