仕訳を簡単にわかりやすく簿記3級合格レベルへ-第10回有価証券(公社債)-
投稿日:2017年9月20日 更新日:
簿記3級を独学で勉強やネットで勉強。全く初めてだと不安もあります。そして、勘定科目に借方、貸方とルールが何だか難しいイメージあります。仕訳とは、簿記を基本として、会社では経理部門が管理するお金(会計)の取引記録です。簿記3級合格レベルの知識を独学で。を最後まで説明していく10回目です。勘定科目と借方、貸方の仕訳と5つのグループ、勘定科目一覧もイメージできるようにしましょう。2016年より2級の範囲となったため、飛ばしても良いです。前回は、有価証券の株式についてでしたが、今回は、有価証券の公社債(国債、社債)についてです。仕訳ルールを覚え、資格試験を受けるのであれば、これをベースに問題や仕訳数をこなしていきましょう。全く知識がない、資格はなくても、経理チームや会計管理をする方々や業務に関係がなくても損益計算書や貸借対照表のような財務諸表を見ていくためにビジネスマンは知っておきたい基礎知識です。
*2016年より2級の範囲となりました*
公社債とは
公社債とは、有価証券の一種で
- 国債(国が一般の人からお金を借りるときに発行する証券
- 社債(株式会社が一般の人からお金を借りるときに発行する証券
- 地方債(地方公共団体が一般の人からお金を借りるときにはあこうする証券
これらの総称です。尚、国債と地方債を合わせて公債と呼ばれます。
そして、公社債に記載されている金額を額面金額(額面)といいます。
公社債の取引
公社債を購入した場合の仕訳
考え方の基本は、前回の株式と同様です。ただ、色んな言葉が出てきて混乱してしまいます。
整理していきます。まず、社債は公社債ですが、有価証券です。つまり、勘定科目は、売買目的有価証券で仕訳していきます。
そして、取得原価がどうなるのかという問題があります。
前回売買目的有価証券の取得原価の算出方法です。
売買有価証券の取得原価 = 単価(@) x 購入数量 + 売買手数料
まさにこれに当てはめて算出していきます。ただ、購入数量が◯株でしたが、公社債は◯口(くち)で数えます。
取引をみていきます。
まず、社債10,000円分を1口(額面)の金額(1,000円)で何口購入したのかを割り出します。
①購入口数:10,000円 ÷ 1,000円 = 10口
つまり、1口950円で10口購入したということです。
②購入金額:950円 x 10口 = 9,500円
そして、忘れてはならないのは、売買手数料です。
③売買手数料:100円
先ほどの計算式に①②③に当てはめます。
取得原価 = 9,500 + 100 = 9,600円
支払いは、現金で行なっています。
仕訳をまとめます。
売買目的有価証券(資産)の増加 = 借方
現金(資産)の減少 = 貸方
公社債の利息を受け取った場合の仕訳
公社債の利息とは、公社債購入した代わりに定期的もらえる利息のことです。もらった借用証書にクーポン券のようなもの(利札といいます)が付いていて、記されている期日(利払日)が到来し、銀行に持っていくと現金化できるものです。
この利息は、有価証券の利息ということで、有価証券利息という勘定科目で、収益として仕訳が行われます。
< 勘定科目 >
- 有価証券利息(収益):公社債の利息を受け取った場合に使う収益の勘定科目
それでは実際の取引例で仕訳を練習しましょう。
まず、有価証券利息(収益)が10円です。そして現金で受け取ったので、現金(資産)が10円です。
有価証券利息(収益)の発生 = 貸方
現金(資産)の増加 = 借方
公社債を売却した場合の仕訳
考え方は、株式の売却と一緒です。
まず、受け取る代金を計算します。
97円 x 5口 = 485円
次に@96で10口購入したものを5口だけ売却しています。
96円 x 5口 = 480円
尚@96は、先例の取得原価9,600円(売買手数料含)で10口購入による単価を使います。注意点です。
ここまでの仕訳は
現金(資産)の増加 = 借方(485円)
売買目的有価証券(資産)の減少 = 貸方(480円:5口分)
公社債も有価証券ですので、勘定科目も株式と同様になります。
差額の5円は有価証券売却益(収益)でしょうか?有価証券売却損(費用)でしょうか?
帳簿価額より売却価額の方が高いです。つまり有価証券売却益が発生しています。(借方貸方の差額で見極めてもOKです)
次に同様の取引で1口95円で売却したとしたらどうでしょうか。
現金(資産、売却価額):95円 x 5口 = 475円
売買目的有価証券(資産、帳簿価額):96 x 5口 = 480円
有価証券売却損(費用):5円(帳簿価額と売却価額の差額)
できましたか?考え方は株式と一緒ですので、もし忘れていたら、今一度復習してください。
決算日まで株式を売らずに保有していた場合の仕訳
これも前回株式と同様です。
決算時の帳簿価額:@96 x 5口 = 480
決算時の時価:@100 x 5口 = 500
20円増えています。この金額を帳簿に調整します。
時価と帳簿価額の差で得していれば、有価証券評価益(収益)
時価と帳簿価額の差で損していれば、有価証券評価損(費用)
覚えていますか?
売買目的有価証券(資産)の増加 = 借方
有価証券評価益(収益)の発生 = 貸方
金額は増えた分20円(5口分の合計)を帳簿に加えたら、時価と帳簿の金額が合致しますよね。
もし、20円評価損が出ていたらどうなるでしょうか。
売買目的有価証券(資産)の減少 = 貸方
有価証券評価損(費用)の発生 = 借方
まとめ
有価証券の2回目で公社債をみてきました。株式と仕訳の仕方は一緒です。”株”が”口”になっているだけです。ただ、注意点は、売買手数料を含めたあとの単価(取得原価)を使って仕訳するということです。帳簿には、取得原価で仕訳されているためです。問題文に惑わされないようにしましょう。
勘定科目一覧
収益グループ
- 有価証券利息
基礎から始めたい方は、こちらです。→
基礎編:借方貸方どっちの覚え方。左右どっちに迷う仕訳を簡単に-基礎編-
第1回:仕訳を簡単にわかりやすく簿記3級合格レベルへ-第1回商品売買-
第2回:仕訳を簡単にわかりやすく簿記3級合格レベルへ-第2回現金-
第3回:仕訳を簡単にわかりやすく簿記3級合格レベルへ-第3回当座-
第4回:仕訳を簡単にわかりやすく簿記3級合格レベルへ-第4回小口現金-
第5回:仕訳を簡単にわかりやすく簿記3級合格レベルへ-第5回手形-
第6回:仕訳を簡単にわかりやすく簿記3級合格レベルへ-第6回為替手形-
第7回:仕訳を簡単にわかりやすく簿記3級合格レベルへ-第7回手形裏書値引-
第8回:仕訳を簡単にわかりやすく簿記3級合格レベルへ-第8回貸付借入-
第9回:仕訳を簡単にわかりやすく簿記3級合格レベルへ-第9回有価証券(株式)-
第11回:仕訳を簡単にわかりやすく簿記3級合格レベルへ-第11回未払未収金-
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