仕訳を簡単にわかりやすく簿記3級合格レベルへ-第3回当座-
投稿日:2017年9月17日 更新日:
簿記3級を独学で勉強やネットで勉強。全く初めてだと不安もあります。そして、勘定科目に借方、貸方とルールが何だか難しいイメージあります。仕訳とは、簿記を基本として、会社では経理部門が管理するお金(会計)の取引記録です。簿記3級合格レベルの知識を独学できるように、最後まで説明していく3回目です。5つのグループと勘定科目と借方、貸方の仕訳に何となくで良いので雰囲気に慣れてきたでしょうか。各回出てきた勘定科目一覧もまとめていきます。前回は、現金(資産)についてでしたが、今回は、当座(資産)についてです。仕訳ルールを覚え、問題や仕訳数をこなしていきましょう。こちらでは複数回に分けて簿記3級合格レベルにできるようにしてきます。資格試験を受けるのであれば参考にしてください。その際は、これをベースに問題集を解いてくださいね。また、全く知識がない、資格はなくても、経理チームや会計管理をする方々や業務に関係がなくても損益計算書や貸借対照表のような財務諸表を見ていくためにビジネスマンは知っておきたい基礎知識です。
当座とは
皆さんも銀行に口座を開設して、キャッシュカードや通帳は持っていると思います。所謂、個人口座で普通口座などあります。当座とは、主に企業が営業資金の決済口座(小切手、手形)として日々の決済(仕入先への支払いや売上の受け取り)で資金の出し入れ(預金)をする口座で、正式には、当座預金口座と呼ばれます。
当座預金とはいえ、中身は、現金です。個人口座を考えるとわかりますよね。簿記上は、資産グループに入ります。勘定科目では、”当座預金”となります。現金と当座預金は、どちらもお金に変わりはありませんが、手元にある現金、口座にある現金(当座預金)と勘定科目を分けてイメージしましょう。
< 勘定科目 >
- 当座預金(資産):企業の銀行口座。そこにお金を預けたり引き出したり、自動で金銭授受を行ったりする口座です。預金を引き出す際は、小切手になります。
小切手
この当座預金から預金を引き出す際は、小切手を用います。小切手とは、ドラマとかでお金持ちの人が、白い紙に金額を書いて相手に渡している紙で、”証券”の一種です。見たことありますか?受け取った相手は、その小切手を銀行に持っていくと現金に交換してくれるんです。簿記では、”現金”として取り扱われます。つまり、小切手をもらったら、現金(資産)が増えたとして仕訳を行います。また、小切手を出すことを“小切手を振り出す”と言います。
このように、現金として取り扱われる証券類を“通貨代用証券”と呼ばれます。通貨代用証券には、小切手のほか、配当金領収証などがあります。
当座預金
当座預金に現金を預けた場合
例えば、当座預金口座に現金100円を預け入れしたとします。このときの仕訳を考えます。
当座預金口座に100円預け入れた(当座預金が増えた)替わりに、手許の現金100円が減っています。当座預金、現金ともに資産グループです。資産グループ増加は、借方。減少は、貸方ですね。個人口座で考えても通帳の現金は増えますが、手許の現金はその分減りますよね。
仕訳は、
当座預金から引き出した場合
当座預金の特徴として、引き出す際には”小切手”となります。もう少し流れをみていきます。
当座預金口座に100円ある → 金額を記入した小切手を相手に振り出す(渡す) → 相手は小切手を銀行へ持っていく → 現金と交換 → 振り出した企業の当座預金口座から引き落とされる
“引き出す”とは、こういうことです。また、小切手を振り出した時点で渡した企業は、当座預金口座から引き出されたと考えて、仕訳をします。
次の取引の仕訳を考えていきましょう。
買掛金(負債)100円が減ります。そして小切手を振り出した部分、これが”当座預金”の勘定科目を使って仕訳されるものです。つまり、買掛金(負債)100円が減少して、当座預金(資産)も100円減少するという仕訳になります。負債が減るのは借方、資産が減るのは貸方です。
この振り出した小切手ですが誰が振り出したかによって勘定科目が異なる場合があります。
私A店が振り出した小切手は、“自己振出小切手”と呼ばれます。この場合は、勘定科目”当座預金”で仕訳します。
私A店にB店が売掛金の支払いに小切手を振り出されて(B店からの小切手)受け取ったとします。この小切手は、“他人振出小切手”(B店が振り出した小切手)と呼ばれ、受け取った私A店では、勘定科目”現金”として仕訳します。
例外として、“他人振出小切手を直ちに当座預金口座に預けた”と問題文等にあった場合は、勘定科目”当座預金”で資産の増加として仕訳しますので、ここは、注意してください。
もう一つの注意は、自分で振り出した小切手が相手から戻ってきたときです。A店が最初にB店に振り出したのに、B店が銀行で現金に交換する前に再び何かしらの支払いにA店が振り出した小切手でB店が支払ってきたときです。
例えば、私A店がB店への買掛金の支払いに小切手を振り出した(自己振出小切手)のですが、B店が私A店への売掛金の支払いにこの以前振り出した小切手を受け取った場合
A店の仕訳は、
A店が買掛金を小切手を振り出して支払っていた場合、買掛金(負債)の減少、当座預金(資産)の減少で仕訳をしています。しかし、今回その小切手が売掛金の回収としてB店が銀行で換金前に戻ってきたので、このようになります。
当座借越(とうざかりこし)
私A店が100円の小切手を振り出した(自己振出小切手)が、当座預金口座が残高0円だったら、どうなるのでしょうか?
残高が0(ゼロ)円でもお金を渡して(引き出して)もらえるように、銀行と借越限度額◯円までとして、”当座借越契約”というのを結ぶことができます。このように残高が0(ゼロ)円でも当座預金を引き出すようにすることを”当座借越”と言います。
もし、当座預金にお金があれば、そこから引き出され、仕訳は当座預金(資産)の減少となりますが、残高がなくなった後に当座借越契約を結んでいて、引き出された場合は、当座預金ではなく、勘定科目”当座借越”を当座預金口座が0円に戻るまで使用して仕訳をします。0円なのにお金を使ったらどうなりますか?借金ですよね。つまり、当座借越は、負債グループとなります。
< 勘定科目 >
- 当座借越(負債):当座預金口座0円を超えて当座預金を引き出すこと。
それでは、考えます。
もし、複雑かなと感じた場合は、一つ一つ分解して考えましょう。限度額100円に騙されないでください。これは、事実を伝えているだけで、仕訳の必要のないものです。
まず、買掛金(負債)の減少を借方へ、そして、当座預金(資産)が減少していますが50円しかないので、とりあえず50円減少させます。
ここで当座借越の登場です。当座借越契約を100円分まで結んでいるとあります。そこから50円支払ってもらいます。当座借越(負債)の発生ですので貸方に記入。これで完成です。
これを前提に次の取引をみていきます。
まず、現金を預け入れているので、手許の現金(資産)が減少します。貸方に現金200円です。
次に、当座預金(資産)が200円増えるはずですが、当座借越残高つまり借金が50円ありますので、それを返済した上で増えると考えるので当座預金(資産)は150円増えます。
最後に、当座借越(負債)50円を完済したので、当座借越(負債)の減少です。
まとめると
結果、当座預金口座には、残高150円となります。
もし、当座預金や当座借越の勘定科目がなく、単に”当座”とあった場合は、預け入れしようが、引き出そうが、本来、当座借越を使う場面でも、この”当座”で仕訳を行います。
勘定科目一覧
資産グループ
- 当座預金
負債グループ
- 当座借越
*当座:当座預金、当座借越の勘定科目がない場合に使用
基礎から始めたい方は、こちらです。→
基礎編:借方貸方どっちの覚え方。左右どっちに迷う仕訳を簡単に-基礎編-
第1回:仕訳を簡単にわかりやすく簿記3級合格レベルへ-第1回商品売買-
第2回:仕訳を簡単にわかりやすく簿記3級合格レベルへ-第2回現金-
第4回:仕訳を簡単にわかりやすく簿記3級合格レベルへ-第4回小口現金-
第5回:仕訳を簡単にわかりやすく簿記3級合格レベルへ-第5回手形-
第6回:仕訳を簡単にわかりやすく簿記3級合格レベルへ-第6回為替手形-
第7回:仕訳を簡単にわかりやすく簿記3級合格レベルへ-第7回手形裏書値引-
第8回:仕訳を簡単にわかりやすく簿記3級合格レベルへ-第8回貸付借入-
第9回:仕訳を簡単にわかりやすく簿記3級合格レベルへ-第9回有価証券(株式)-
第10回:仕訳を簡単にわかりやすく簿記3級合格レベルへ-第10回有価証券(公社債)-
第11回:仕訳を簡単にわかりやすく簿記3級合格レベルへ-第11回未払未収金-
第12回:仕訳を簡単にわかりやすく簿記3級合格レベルへ-第12回払受金-
第13回:仕訳を簡単にわかりやすく簿記3級合格レベルへ-第13回立替金-
第14回:仕訳を簡単にわかりやすく簿記3級合格レベルへ-第14回給料-
第15回:仕訳を簡単にわかりやすく簿記3級合格レベルへ-第15回商品券-
第16回:仕訳を簡単にわかりやすく簿記3級合格レベルへ-第16回消耗品-
第17回:仕訳を簡単にわかりやすく簿記3級合格レベルへ-第17回貸倒引当金-
第18回:仕訳を簡単にわかりやすく簿記3級合格レベルへ-第18回固定資産-
第19回:仕訳を簡単にわかりやすく簿記3級合格レベルへ-第19回減価償却-
第20回:仕訳を簡単にわかりやすく簿記3級合格レベルへ-第20回売却-
第21回:仕訳を簡単にわかりやすく簿記3級合格レベルへ-第21回租税公課-
第22回:仕訳を簡単にわかりやすく簿記3級合格レベルへ-第22回資本金-
第23回:仕訳を簡単にわかりやすく簿記3級合格レベルへ-第23回繰延べ-
第24回:仕訳を簡単にわかりやすく簿記3級合格レベルへ-第24回見越し-
第25回:仕訳を簡単にわかりやすく簿記3級合格レベルへ-第25回訂正-
第26回:仕訳を簡単にわかりやすく簿記3級合格レベルへ-第26回帳簿-
第27回:仕訳を簡単にわかりやすく簿記3級合格レベルへ-第27回補助簿-
第28回:仕訳を簡単にわかりやすく簿記3級合格レベルへ-第28回小口現金出納帳-
第29回:仕訳を簡単にわかりやすく簿記3級合格レベルへ-第29回仕入買掛帳帳-
第30回:仕訳を簡単にわかりやすく簿記3級合格レベルへ-第30回売上売掛帳-
第31回:仕訳を簡単にわかりやすく簿記3級合格レベルへ-第31回手形帳-
第32回:仕訳を簡単にわかりやすく簿記3級合格レベルへ-第32回商品有高帳-
第33回:仕訳を簡単にわかりやすく簿記3級合格レベルへ-第33回試算表概要-
第34回:仕訳を簡単にわかりやすく簿記3級合格レベルへ-第34回試算表-
第35回:仕訳を簡単にわかりやすく簿記3級合格レベルへ-第35回伝票制-
第36回:仕訳を簡単にわかりやすく簿記3級合格レベルへ-第36回決算整理-
第37回:仕訳を簡単にわかりやすく簿記3級合格レベルへ-第37回締切帳簿-
第38回:まとめ簿記3級勘定科目一覧
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