原価計算方法を種類別に簡単にわかりやすく整理2-直接間接費-

投稿日:2017年10月6日 更新日:

実際原価計算(個別、総合)、標準原価計算、直接原価計算と原価計算と一言にいっても数多く存在します。製造業では、そこに部品費やそこで働く人の労務費、水道ガスの経費など1つのものを完成させるに当たって、様々な費用がかかっています。飲食業でもメニュー1つ1つを考えるのには必要です。これらを細かくどう計算するかは、結果いくらで販売しなくてはいけないのか、に関わってきます。そこでここでは、各原価計算が簡単に理解できるように順を追って説明していきます。今回は、材料費、労務費、経費計算です。原価計算の準備段階ですが、各項目がどのようになっているのかを理解しましょう。

材料費とは

材料費とは、モノにかかる費用のことです。

  • 直接材料費:製品の土台となる主材料、購入してそのまま組み立てれば良い部品の費用
  • 間接材料費:工具や塗料などの製品製造に使用する補助的備品類の費用

材料費を購入したときは、本体の購入価額に付随費用(引取運賃)を含めたものが、購入原価となります。

購入原価 = 本体購入価額 + 付随費用

例えば、本体100円で引取運賃20円も支払ったとすれば、購入原価は120円となります。

材料費の計算

材料費 = 消費単価 x 消費数量

  • 消費単価:使用した材料の単価
  • 消費数量:使用した材料の数量

消費単価の決定方法

実際、消費単価ってどうやって計算するの?というお話です。

材料を購入する時期によって、単価が異なることがあります。そうすると単価がバラバラになってしまいます。そのため、これを決定する方法には2種類あります。

  • 先入先出法
  • 平均法

詳細参考:仕訳を簡単に覚えて、わかりやすくルール解説して簿記3級合格レベルへ32回商品有高帳

消費数量の決定方法

こちらも2種類です。

  • 継続記録法:材料を購入、消費するたびに払出数量を消費数量とする方法
  • 棚卸計算法:材料を購入したときだけ記録しておいて、購入数量と実地棚卸数量(棚卸を行った数量)から消費数量を計算する方法

詳細参考(売上原価欄):仕訳を簡単にわかりやすく簿記3級合格レベルへ36回決算整理

棚卸計算法では、月末にならないと在庫数が把握できないというデメリットがあります。(棚卸により在庫が把握できるため)

消費数量(棚卸計算法) = 月初数量 + 当月購入数量 − 月末実地棚卸数量

棚卸減耗費とは

本来、記録していた数量が10個となっていたのに棚卸で8個しかなかった場合にその分を実際の数量に合わせる必要があります。減った数量を棚卸減耗といい、その費用を棚卸減耗費といい、費用として計上します。

棚卸減耗費 = 消費単価 x 減耗数量

予定消費単価

消費単価について、2種類を挙げましたが、製造は同じ時期にして、同じ材料なのにや棚卸しないとわからない。なんだか面倒です。そこで、実際の購入単価に替えて、予測してあらかじめ単価を決定して材料費を計算する方法があります。この単価を予定消費単価といい、原価計算をする際に実際の消費額との帳尻を合わせます。

材料費(予定消費額) = 予定消費単価 x 実際消費数量

例えば、予定消費単価が30円、実際消費単価が40円。消費数量が10個だった場合、

材料費(予定) = 30 x 40 = 1200

材料費(実際) = 40 x 40 = 1600

差額400円を材料費にプラスするという方法をとるのです。この場合、材料費が予測より多くかかってしまったとなります。

労務費とは

労務費とは、ヒトにかかる費用のことで、次のものがあります。

  1. 賃金:製品製造に関わる工員の給与。製造に関わる人を直接工、材料を運んだりするサポートする人を間接工といいます。
  2. 給料:例えば製造工場で事務を担当する人など製造には関わらない人の給与
  3. 従業員賞与手当:通勤手当など
  4. 退職給付費用:退職に備えての費用
  5. 法定福利費:会社が負担する社会保険料

店舗や企業ではなく、工場をイメージするとわかりやすいです。

  • 直接労務費:直接工の賃金。直接工の直接作業時間(製造に関わっている時間)
  • 間接労務費:上記以外。

労務費の計算

例えば、直接工の賃金消費額が2,000円、作業時間が40時間(直接作業30時間、間接作業10時間)出会った。します。

まず、1時間あたりの賃金(消費賃率)を計算します。時給みたいに考えるとわかりやすいです。

消費賃率 = 賃金消費額 ÷ 作業時間

2,000円 ÷ 40時間 = 50円

これを直接作業分と間接作業分に配分します。

直接作業分 50 x 30 = 1,500円

間接作業分 50 x 10 = 500円

細かく賃金をみると2,000円の内訳は、これだけの費用になるということです。

予定賃率

材料費と同様の考え方です。予定賃率とは、予測してあらかじめ賃金を決定して賃金の消費額を計算する方法です。”率”といっても” % “で表すものでなく、単価を意味します。そして、実際の結果がわかった際に帳尻合わせをします。

賃金の予定消費額 = 予定賃率 x 実際作業時間

予定賃率50円で実際作業時間(全て直接作業時間)80時間であれば、50 x 80 = 4,000円です。つまり、賃金4,000円となります。

さらに、結果、今月の賃金消費額が3,000円であった場合、差額が1,000円生じます。これは、払う側からすれば、1,000円少なくて済んだとなります。

経費とは

上記2つ以外は経費となります。

  1. 外注費
  2. 月割経費:建物や作業事務所の賃借料
  3. 測定経費:電気、ガス、水道代
  4. 発生経費:材料の棚卸減耗費など
  • 直接経費:外注費
  • 間接経費:それ以外

詳細参考→減価償却

まとめ

直接〜、間接〜と材料費、労務費、経費について挙げてきました。難しく考えず、直接といったら、いくらかかったかが明確なもの、間接といったらそれ以外と基本的に考えましょう。また、原価計算をする上での土台となる部分ですので、直接、間接の用語に慣れてください。

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原価計算方法を種類別に簡単にわかりやすく整理1-概要-

原価計算方法を種類別に簡単にわかりやすく整理3-個別原価計算-

原価計算方法を種類別に簡単にわかりやすく整理4-部門別原価計算-

原価計算方法を種類別に簡単にわかりやすく整理5-総合原価計算-

原価計算方法を種類別に簡単にわかりやすく整理6-工程組等級別-

原価計算方法を種類別に簡単にわかりやすく整理7-仕損減損-

原価計算方法を種類別に簡単にわかりやすく整理8-追加投入-

原価計算方法を種類別に簡単にわかりやすく整理9-標準原価計算-

原価計算方法を種類別に簡単にわかりやすく整理10-材料差異-

原価計算方法を種類別に簡単にわかりやすく整理11-労務費差異-

原価計算方法を種類別に簡単にわかりやすく整理12-製造間接費差異-

原価計算方法を種類別に簡単にわかりやすく整理13-直接原価計算-

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