原価計算方法を種類別に簡単にわかりやすく整理10-材料差異-
投稿日:2017年10月12日 更新日:
実際原価計算(個別、総合)、標準原価計算、直接原価計算と原価計算と一言にいっても数多く存在します。原価差異は、標準原価と実際原価の差額を把握するとともに直接材料費、直接労務費、製造間接費それぞれの差異を詳しく分析していくものです。今回は、直接材料費原価差異(数量、価格)です。このような場合はどのように計算していくのかをみていきます。製造業では、そこに部品費やそこで働く人の労務費、水道ガスの経費など1つのものを完成させるに当たって、様々な費用がかかっています。飲食業でもメニュー1つ1つを考えるのには必要です。これらを細かくどう計算するかは、結果いくらで販売しなくてはいけないのか、に関わってきます。そこでここでは、各原価計算が簡単に理解できるように順を追って説明していきます。
実際原価と標準原価の差異の把握
標準原価計算では、目標原価を設定してあらかじめ計算する方法でした。ここからは、ステップ4の原価差異の把握をしていきます。
月末になれば、実際の原価(直接材料費、直接労務費、製造間接費)が判明します。そして、あらかじめ設定した標準原価があります。この標準原価と実際原価の差額を原価差異といいます。
原価差異 = 標準原価 − 実際原価
- 必ず、標準原価から実際原価を差し引く
- 計算結果がプラスならば実際原価が安く済んだ
- 計算結果がマイナスならば実際原価が多くかかった
このようになります。例えば、下記の場合、
原価差異 = 32,853円(標準原価) − 35,922円(実際原価) = − 3,069円
つまり、実際の原価が多くかかってしまったとなります。
原価差異の分析
原価差異を把握できたら、より細かくそれぞれの項目の分析をしていきます。つまり、把握したのは総額における原価差異なので、直接材料費、直接労務費、製造間接費に分けて分析して、どこにお金がかかりすぎたのか、どう改善していくのかをみていきます。
直接材料費の原価差異(総額)
次の場合を計算していきます。
まず、直接材料費の差額を考えます。
標準直接材料費単価:@52 x 2枚 = @104
1個あたり@104で、当月投入が120個なので、
標準直接材料費:@104 x 120個 = 12,480円
実際直接材料費:@55 x 252枚 = 13,860円
直接材料費差異 = 12,480円 − 13,860円 = −1,380円
(標準原価−実際原価)がマイナスなので、実際原価の方が多く費用を要したことになります。
このような差異分析には、差異分析用のBOXを利用するとわかりやすくなります。
縦軸に単価、横軸に数量を取ります。そして、標準原価の数字を必ず内枠に書きます。
内枠が標準原価、外枠が実際原価、標準原価と実際原価の間が、差異を示します。
注意すべきポイントは、標準原価の数量です。当月投入は120個で標準単価では、消費量が1個に対して2枚なので、120個x2枚で240枚となるところです。
ここでは、総額の差異をみましたが、このBOXにより、さらに価格差異と数量差異を分析できます。この際も必ず、(標準 − 実際)で計算を行います。
数量差異
標準消費量、つまりは、予定していた消費量より実際に使った消費量(枚数)などが多かったか少なかったかを意味します。差異がプラスなら少ない金額で済んだ。マイナスなら多く金額がかかったことになります。
数量差異 = 標準単価 x (標準消費量 − 実際消費量)
数量差異 = @52 x (240枚 − 252枚) = − 624円
価格差異
予定していた材料の価格より実際に使った価格など高かったか安かったかを意味します。差異がプラスなら安い材料を使った。マイナスなら高い材料使ったことになります。
価格差異 = (標準単価 − 実際単価) x 実際消費量
価格差異 = (@52 − @55) x 252枚 = − 756円
まとめ
BOXを書くとわかりやすく計算できます。そしてBOX内はこのような構造であることが理解できるとよりわかりやすくなります。
スタートはこちらから→
原価計算方法を種類別に簡単にわかりやすく整理1-概要-
原価計算方法を種類別に簡単にわかりやすく整理2-直接間接費-
原価計算方法を種類別に簡単にわかりやすく整理3-個別原価計算-
原価計算方法を種類別に簡単にわかりやすく整理4-部門別原価計算-
原価計算方法を種類別に簡単にわかりやすく整理5-総合原価計算-
原価計算方法を種類別に簡単にわかりやすく整理6-工程組等級別-
原価計算方法を種類別に簡単にわかりやすく整理9-標準原価計算-
原価計算方法を種類別に簡単にわかりやすく整理11-労務費差異-
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