原価計算方法を種類別に簡単にわかりやすく整理3-個別原価計算-

投稿日:2017年10月7日 更新日:

実際原価計算(個別、総合)、標準原価計算、直接原価計算と原価計算と一言にいっても数多く存在します。今回から実際の計算、個別原価計算から進めていきます。製造業では、そこに部品費やそこで働く人の労務費、水道ガスの経費など1つのものを完成させるに当たって、様々な費用がかかっています。飲食業でもメニュー1つ1つを考えるのには必要です。これらを細かくどう計算するかは、結果いくらで販売しなくてはいけないのか、に関わってきます。そこでここでは、各原価計算が簡単に理解できるように順を追って説明していきます。

個別原価計算とは

個別原価計算とは、何種類もある製品を一つ一つ製品ごとに原価を集計する実際原価計算の方法です。主に受注生産型(お客様の注文通りの予算、数量)で行われます。そして、こんな風に作ってねという、指図書(製造者への指示書)を基に製造していきます。

例えば、大量生産でもロット(生産、出荷の最小単位)に区切って個別原価計算を使えば、しっかり原価管理もちろん品質管理もできます。

個別原価計算

指図書を基に、製品ごとに原価を集計します。

原価のうち、直接◯◯はどの製品にいくらかかったが明らかなものでした。材料費、労務費、経費と明確なものは、表のように集計していきます。

問題は、製造間接費(間接材料費、間接労務費、間接経費)です。これらは、何らかの基準でそれぞれの製品に費用を配賦(はいふ)していきます。配賦とは、振り分けることです。

何らかの基準は、直接作業時間であったり、直接労務費であったり、基準に沿って行います。

例えば、製造間接費の実際発生金額が3,000円で、配賦基準とした直接作業時間が、

  • 製品A:25時間
  • 製品B:20時間
  • 製品C:15時間

であった場合を考えます。

製造間接費配賦率 = 製造間接費実際発生金額 ÷ 配賦基準合計

すると、3,000 ÷ 60(25+20+15) = 50円。製造間接費の振り分けのための単価が50円となります。

これを各製品に基準とした時間を掛けて計算します。

  • 製品A:50円 x 25時間 = 1,250円
  • 製品B:50円 x 20時間 = 1,000円
  • 製品C:50円 x 15時間 = 750円

それぞれの製造間接費の配賦金額がわかり、集計するとこのようになります。これで、各製品の製造原価がわかりました。

各製品が完成し、すでに工場から販売先へ納品されている場合は、売上原価となったりします。完成しているけど納品前であったり、未完成であったりと出てくると、この後の処理が変わってきます。この辺は、趣旨と外れるので、ここでは割愛します。

これが基本の個別原価計算です。しかし、実際の製造間接費は、発生額がわからなくては、いつまでたっても原価計算を行うことができなくなります。そこで、材料費や労務費、経費同様に、予定〜という指標を用いて計算しておくことも可能です。

予定配賦率

材料費、労務費ではそれぞれ予定消費単価、予定賃率とあらかじめ予測した費用で計算を行いました。ここでも製造間接費をあらかじめ見積もった総額(1年分の製造間接費予算額など)を基準操業度で割って予定配賦率を求めます。

予定配賦率 = 製造間接費予算額 ÷ 基準操業度

基準操業度とは、1年分の配賦基準の合計値です。先例では、直接作業時間が配賦基準となっていました。この場合は、直接作業時間の1年間分の予定時間合計が基準操業度となります。

例えば、年間製造間接費予算額が100,000円、基準操業度が500時間とします。

予定配賦率 = 100,000 ÷ 500 = 200円

予定配賦率は、200円です。

実際、今月の直接作業時間が20時間だったとすると、200円 x 20時間 = 4,000円

つまり、この4,000円が該当月の製造間接費(予定配賦額)として一旦計上されます。そして、月末に実際の製造間接費が3,000円だとしたら、この1,000円の差額(実際より多い額を計上していた)を戻す処理を行う流れになります。

まとめ

ここで行なっている計算は、会計上、行われること(簿記)なので、細かく言えば、月末の仕訳は〜、決算日の仕訳は〜となります。ただし、どういった流れで計算されているのかの基本を知っておくことで、計算自体は個人ですることもでき、それについて月末に費用が少なく済んだ。費用が多かったなど分析はできるはずです。

わからない用語など出てきた場合は、下記を参考ください。

スタートはこちらから
原価計算方法を種類別に簡単にわかりやすく整理1-概要-

原価計算方法を種類別に簡単にわかりやすく整理2-直接間接費-

原価計算方法を種類別に簡単にわかりやすく整理4-部門別原価計算-

原価計算方法を種類別に簡単にわかりやすく整理5-総合原価計算-

原価計算方法を種類別に簡単にわかりやすく整理6-工程組等級別-

原価計算方法を種類別に簡単にわかりやすく整理7-仕損減損-

原価計算方法を種類別に簡単にわかりやすく整理8-追加投入-

原価計算方法を種類別に簡単にわかりやすく整理9-標準原価計算-

原価計算方法を種類別に簡単にわかりやすく整理10-材料差異-

原価計算方法を種類別に簡単にわかりやすく整理11-労務費差異-

原価計算方法を種類別に簡単にわかりやすく整理12-製造間接費差異-

原価計算方法を種類別に簡単にわかりやすく整理13-直接原価計算-

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