粗利率改善や売上総利益率、マージン率改善のための基本ポイント。
投稿日:2017年12月19日 更新日:
売上総利益=粗利=マージン=限界利益(貢献利益)での各計算で出される”率”に関しては、改善方法や上げ方に悩むところです。企業にとって利益(儲け)を得るには、売上高を大きくする。粗利を大きくする。果たしてどちらが良いですか?それぞれの意味や計算式を簡単に整理してから、改善策や考えるべきポイント、方法、手法をみていきましょう。
売上総利益、粗利、マージン、貢献利益(限界利益)とは
これらの計算式は、
売上高 − 売上原価(製造原価/仕入原価/変動費)
です。そして、それぞれを”率(%)”にする際は、
各”〜率”(%)
= (売上総利益/粗利/マージン/貢献利益(限界利益))金額 ÷ 売上高 x 100
これらの”率”は、モノやサービスの“売上”に対しての単純な利益(粗利)の割合を示しています。
簡単に振り返りましたが、詳細こちらを参考に
『マージン』『粗利』 → マージンと粗利益とは違う意味なのか、率の計算方法はどうなってる
『利益率』『粗利率』 → 利益率や粗利益率や原価率。計算方法や違いを簡単に理解と把握。
『限界利益』『売上総利益率』 → 限界利益(貢献利益)と売上総利益率(粗利率)の計算や意味を整理
売上高と粗利。どちらを大きくするのが企業としては良いでしょうか?
売上高と粗利どちらを大きくすべきなのか?
例えば、ある製品に関して、
A:売上高100万円、仕入原価25万円
B:売上高200万円、仕入原価50万円
どちらが会社の粗利益(儲け)が大きいですか?
金額としては、Aは75万円、Bは150万円の利益(儲け)です。
先の計算式に倣えば、どちらも粗利率75%です。これは、売上高ではなく、仕入原価に粗利益(儲け)が影響されていることを示しているのです。会社規模等は考慮せずに、単純に利益(儲け)だけを考えてください。
次に、これだとどうでしょうか?
A:売上高300万円、仕入原価90万円
B:売上高400万円、仕入原価100万円
金額としては、Aは210万円、Bは300万円の粗利益(儲け)です。
粗利率はどうでしょうか?
A:210万円 ÷ 300万円 x 100 = 70%(0.7)
B:300万円 ÷ 400万円 x 100 = 75%(0.75)
となり、Bの方が多くの粗利益(儲け)を5%分もたらすことになります。
以上を踏まえると、この場合、企業としては、“仕入原価”を低くして、”粗利益”を大きくすることが必要ですよね。または、製品の単価(販売価格)を上げて、粗利益を大きくしようとします。
つまり、売上高が大きく増えたところで、比例して、それに関わる原価類の金額が増えてしまえば、粗利益に変化は生じません。粗利益は、ずっと横ばいで推移するのです。
ここでは、”ある製品”としましたが、製造するメーカーであれば、製造原価(材料費など)になりますし、お店では同様に”仕入原価”となります。
何がわかるの?
今までみてきたのは一例ですが、「”粗利率”を上げていくのが大切。」というのは、理解できたでしょう。
続いて、例えば、100円で仕入れて、250円で販売した場合は、150円の粗利益。150円で仕入れて、250円で3回販売すると100円x3回=300円の粗利益です。後者の製品の方が粗利益を得ています。
つまり、原価が高くてもその製品を複数回販売すれば、粗利率は低くても、多くの儲けを獲得できるということです。
商品回転率というものですが、詳細はこちらを参考ください。
→ 商品回転率(在庫回転率)の計算方法で商品の数と力を見極める
つまり、
- 稼ぐ力のある製品か
- 薄利多売の製品か:単体の粗利益は少ないが大量に販売して利益を得る製品(少額製品)
- 少量の販売でも高粗利の製品か:単体の粗利益は大きいが、売上高は少ない製品(高額製品)
この要素によって、単に”粗利益率”という数字だけでは計れず、そのモノやサービスに対して、きちんと複数の視点を持ち考えることの必要性わかるのです。
例えば、ユニクロやニトリなどは、値段が安いです。しかしながら、“安売り”しているわけではないので、粗利をきちんと取れているからこそ、継続できているのです。薄利多売と売上高が少なくても高粗利の製品が混在していると言えます。
そして、この視点をもってしても、”粗利率”が悪化してくるのは、何かしらの理由が必ずあります。
- 製品やサービスの経年劣化
- 競合他社との競争による根本の売上高の減少
“売上”は取らなくてはいけませんが、”粗利”についても並行して見ていかなければ、必然的に”儲け”が悪化していきます。
では、粗利率やマージン率、売上総利益率を改善させるには、どうしたら良いのでしょうか?
改善するには、どうしたら良い?
粗利率の改善、つまり粗利の改善を考えるには、いくつかポイントがあります。
- 高粗利のモノ、サービスの販売、提供または開発。
- 販売価格の値上げ。
- 値引き販売の排除。
- 仕入原価の値下げ、材料コストの引き下げ。
- ロス削減 *飲食業などの材料の廃棄。
これらの要素を検討すると、
- 高粗利を増やし、低粗利のモノ、サービスを減少させる。
- 適正な生産量、仕入量、取引先の管理。
特に、値引き販売を安易に行うのは、お客様に”買い時”を失わせてしまいますので、違った方法で”今、買わなくてはならない理由”を提供できるようにしなくてはいけません。“付加価値”の向上です。
『付加価値』参考 → 付加価値をつけて商品やサービスを高めて、売る、提供するを考えてみる
『販売方法』参考 → 商品を売るためには必ず知っておきたい一つの基本販売戦略方法とコツ-前編-
まとめ
“粗利”について、その製品の特徴を理解して、多角的、多様な視点から、どうすれば改善できるのか考えます。また、取引関係が既にある場合、”値上げ”や”値下げ”という交渉は、かなり難しいです。だからこその生産過程の見直しや付加価値の増加という、勝負できる部分を深く戦略を練っていきましょう。
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