マージンとは何か。計算と粗利益との違いや意味と率に違いは。
投稿日:2017年12月9日 更新日:
マージンとは何ですか。粗利益とは何?「利益を10%乗せて!」や「マージン15%乗せます!」。んっ!?「どういうこと?」「意味違うの?」と混乱してしまいます。販売価格を設定する場合などに言葉が飛び交いますが、日本語は難しいです。マージン率の計算というのもあります。「粗利」に「利益」に「値入(マークアップ)」に「マージン(英語:margin)」。言葉は違いますが、そんな違いや意味を簡単な例を基本として、頭にいれておくことで、誰でも応用することができます。ここでは、”マージンとは”の概念について、意味、マージン率の計算、粗利益との違い、値入について整理していきます。
マージン(margin)とは
英語での”margin”は、「余白」「余裕」の日本語訳があります。ページの上下左右などを示すのが余白で、時間、経費などが余裕を意味しています。
モノやサービスのビジネス上の「マージン」には、3つの意味があります。
- 利幅、利ざや
- (販売などの)手数料
- 委託証拠金:株式取引などで証券会社が顧客から預かるお金
普段、耳にしたりするこれらのうち、「利幅や利ざや」、そして「手数料」が”マージン”を意味しています。
また、このマージンは、
マージン = 売上高 − 売上原価(製造原価) = 売上総利益
を意味しているのです。
何かお気づきでしょうか?
“マージン”とは、つまり“粗利益”を意味しているのです。
製造業界では、売上高から製造原価を差し引いたもの、モノやサービスに関わる流通業界では、販売総額から仕入原価を差し引いたものを示します。
粗利益(マージン)は、販売費および一般管理費が含まれており、会計上は、売上総利益と呼ばれます。そして、これを粗利益(マージン)から差し引いたものが営業利益となるのです。
売上総利益詳細:損益計算書
マージン率と粗利率の計算
マージンと粗利の意味が同じことは、説明しました。ということは、マージン率は、粗利率と同様の計算式となります。
マージン率(%) = 粗利率 = マージン(粗利/売上総利益) ÷ 売上高 x 100
例えば、1,000円で仕入れた(製造した/原価)商品を1,500円で販売した場合のマージン(粗利)は、500円です。このマージン率(粗利率)を計算すると下記になります。
マージン率(%) = 500円 ÷ 1,500円 x 100 = 約34%(0.333…)
売上にまつわる”率”の計算:粗利率、原価率、利益率、値入率
ところで、「利益を10%乗せて!」や「マージン15%乗せます!」ってどうなりますか。
「利益を10%乗せて!」や「マージン15%乗せます!」の意味
マージンと言われるなら良いですが、利益と言われると。。。この場合の利益が何を示しているかは、発言した人、企業によって様々ですが、通常は、”粗利”を指します。
多くは、何かモノやサービスの販売価格を設定する際に使用されます。
「利益を10%乗せて!」は、「原価(仕入価格や製造原価)に粗利益(マージン)を加えて、販売価格の10%(マージン率、粗利益率)が粗利益(マージン)になるようにして!」
「マージン15%乗せます!」は、「原価(仕入価格や製造原価)に粗利益(マージン)を加えて、販売価格の15%(マージン率、粗利率)が粗利益(マージン)になるようして!かマージン15%をこちらがもらいます。」
ということです。
利益とは、厳密には、粗利益から販売費および一般管理費を差し引いたものをいいます。しかし、発言者は、粗利益を言っている事が多々あります。この辺りは、社内で何を示すのかがありますので、それに合わせてください。
利益の詳細については、以前記事にしていますので、参考にしてください。
→利益率や粗利益や原価、値入。”率”計算方法や違いを簡単に理解と把握。
販売価格の設定計算
「マージンを15%乗せて」とは、「原価(仕入原価や製造原価)に15%(マージン率、粗利率)のマージン(粗利益)を加えて、販売価格にする」ことです。または、「販売価格の15%(マージン率、粗利率)をマージン(粗利益)としていただきます」ということです。
「どうやって計算するの??」
「そうか、15%を原価に加えるんだから、原価が1,000円だったら、0.15倍。販売価格は。。。。」
「1,000 x 1.15(1,000 x 0.15 = 150円。原価が1,000円だから1,000 + 150) = 1,150円!!」
「販売価格は、1,150円!」
ち、違うんです。。。
この1,150円でマージン率を計算してみましょう!
マージン150円 ÷ 販売価格1,150円 = 13%(0.130…)
あれっ!?変ですね。。。
15%のマージン率にするには、
販売価格が1,176円でなくてはなりません。
販売価格1,176円 x マージン率15%(0.15) = 176円(176.4)
つまり、「マージンを15%乗せて、原価1,000円」の場合、マージンは、176円でなくてはいけません。販売価格は、1,176円でなければならないともいえます。
この1,176円の販売価格、どんな計算からきているのでしょうか。
販売価格内の15%がマージンになるように設定するので、言い換えれば、販売価格Sの原価率85%が原価になるようにするということなのです。
販売価格S x 15% = マージン
販売価格S x 85%(1 − 0.15) = 原価(ここでは1,000円と仮定)
販売価格S x 0.85 = 1,000円
販売価格S = 1,000円 ÷ 0.85 = 1,176円(1176.4…)
実は、
販売価格 = 原価 ÷ (1− マージン率)
= マージン(粗利益) ÷ マージン率(粗利益率)
= マージン(粗利益) ÷ (1−原価率)
なぜ”1(イチ)”から差し引いているかといえば、
販売価額1,000円の商品で原価率20%だと200円で粗利益は800円、マージン率(粗利益率)は80%。合わせて100%です。
つまり0.2+0.8=1です。それを踏まえているのです。
また、原価(仕入原価/製造原価)に一定率のマージン(粗利益)を乗せて、販売価格を設定することを
値入(マークアップ)
といいます。
例えば、次の条件で販売価額を決める場合、
- 販売価格をいくらにしようか。
- 原価は400円
- マージン率(粗利益率)を20%(0.2)にしたい
このときの販売価額はいくらでしょうか?
販売価額をSとします。すると
S = 400 ÷ 0.8(1−0.2) =500円
販売価額を500円にすれば良いということです。
応用すれば、様々利用できます。
余談ですが、販売価格の設定として、先の例で原価400円が販売価格の20%(原価率)になるようにしたい時は、
販売価格をSとすると、S = 400 ÷ 0.2 =2,000円と計算できます。
値入やこの原価率に関しての詳細は、下記を参考にして、是非合わせて理解しましょう。
→利益率や粗利益や原価、値入。”率”計算方法や違いを簡単に理解と把握。
まとめ
マージンについて、理解できましたか。
マージン = 粗利益。マージン率 = 粗利率。
そして、「利益を10%乗せて!」や「マージン15%乗せます!」は、
原価に対して、マージン率(粗利率)○%になるように販売価格を設定する(販売する)
ことなのです。
ある製品の流通において、メーカー→卸業者→販売店→お客様(消費者)の場合、
- メーカーは、ある製品を1,000円で卸業者へ販売。(マージン1,000円)
- 卸業者は、メーカーから1,000円で仕入れた製品にマージン20%(販売価格1,250円)を乗せてお店に販売。(マージン250円)
- お店は、卸業者から1,250円で仕入れた製品にマージン20%(販売価格1563円)を乗せてお客様に販売(マージン313円)
一例をあげれば、このように流れています。ここでは”例”ですが、自社や自身の立場に合わせるとより理解が深まります。
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