付加価値率の計算と付加価値額。付加価値とは何の意味をもつのか。

投稿日:2018年1月21日 更新日:

よく『付加価値を高める』『付加価値を向上する』といえば、モノやサービスについて、お客様の満足度つまり顧客満足度を表すときなどに用いられます。しかし、ここでの”率”や”額”は、労働分配性や労働分配率で出てくる生産性を測る際に用いる意味で、粗利率や限界利益率、売上総利益率のような具体的な”金額””数値”で示されます。英語では、Value Added Rate(バリューアディットレート)です。「Value-added」が「付加価値のある」を意味します。付加価値とは何を意味するのか、また計算については、加算方式や控除方式などの種類があるので、簡単に整理してご紹介します。

『付加価値』とは何か

  1. 生産によって新たに加えられた価値。総生産額から原材料費・燃料費・減価償却費などを差し引いた額。
  2. 特定の人・場所・施設や何かの商品・サービスなどに付け加えられた独自の価値

出典:Wikipedia

一般的に『顧客満足度』といわれるのは、”2″の意味です。しかし、ここでいうのは、”1″の意味となります。

『顧客満足度』参考→
付加価値とは何かの意味をわかりやすく簡単にまとめて考えてみる
顧客満足度(CS)の向上は付加価値が高めることと同じ意味なのか

もう少し細かく”1″について説明してみます。

従業員の労働でその「生産性」を測る一つの指標。つまり、企業の生産性の分析に用いられる一つの指標で、労働手段で新たに付け加えられた価値を示します。

では、実際には何を見れば良いのでしょうか。

『付加価値額』とは

先の用語の意味を「金額」で表すのが、この『付加価値額』です。では、何の金額を示しているのでしょうか。

簡単に言ってしまえば、1,000円で仕入れたモノを1,500円で販売した場合、

付加価値 = 1,500円 - 1,000円 = 500円

この粗利益500円が付加価値となります。

売上総利益(粗利益) = 売上高 - 売上原価(仕入原価/製造原価)

つまり、

付加価値 ≒ 売上総利益 = 粗利益

ほぼ同義と捉えて間違いありません。

深く知識として必要としていない場合は、これを覚えておけば十分です。

では、この『付加価値』を『率』として表すにはどうしたら良いのでしょうか。

『付加価値率』の計算方法とは

『付加価値率』とは、売上高に占める『付加価値』の割合を示すものです。

 

もし『付加価値率』を計算する場合、先例を考えると

付加価値率(%) = 付加価値 ÷ 売上高 x 100 = 粗利率

となります。

粗利益詳細→ 利益率や粗利益率や原価率

限界利益率(貢献利益)詳細→ 限界利益率と売上総利益率

売上総利益詳細→ 損益計算書P/Lを簡単にわかりやすく見方、読み方を確認してみる

つまり、通常であれば

付加価値率 = 粗利率

と捉えておけば大丈夫となります。

詳細な『付加価値』と『付加価値率』

しかし、『付加価値』を計算する上で詳細を捉える場合には、2つの求め方があります。

  1. 控除方式:中小企業庁が推奨する方法
  2. 加算方式:日銀が推奨する方法

一般的には、手軽な『控除方式』を利用することが多いです。

『中小企業庁方式(控除方式)』

付加価値=売上高-外部購入価値(材料費、購入部品費、運送費、外注費など)

『日銀方式(加算方式)』

付加価値=経常利益+人件費+貸借料+減価償却費+金融費用+租税公課

さらに、日銀方式である加算方式の場合、”減価償却費”を含むか含まないかで呼び方が異なります。

  • 粗付加価値:含む
  • 純付加価値:含まない

一般的には、『粗付加価値』を利用することが多いです。

『付加価値率』の計算方法についての”計算式”は、先例と同様となり、『付加価値』をどう捉えるかで実際に計算式に当てはめることで導くことができます。

この『付加価値』には、さらに『生産性』を測る『付加価値生産性』というものがあります。

『付加価値生産性』とは

『付加価値生産性』とは、労働者一人当たり、どれだけ『付加価値額』を生み出したかの指標です。

この生産性が高いほど、一人が生み出す付加価値が高いとなります。

また、これに似ている指標に『労働分配率』があり、これは、付加価値額に対する人件費の割合で、生み出した付加価値がどれだけ人件費に分配されたかを示す指標です。

詳細概要についてはこちら→
人件費率より労働分配率や人時(事)生産性を計算式で導き、売上高を。

『付加価値生産性』の計算方法とは

『付加価値生産性』 = 付加価値額 ÷ 従業員

例えば、付加価値額が2,000円で、従業員が10人の会社A、従業員が20人の会社Bがあった場合、

付加価値生産性は、先の式に当てはめ、

A:2,000円 ÷ 10人 = 200円

B:2,000円 ÷ 20人 = 100円

つまり、付加価値額が同額であると、従業員数が少ない方が生産性は高いということです。感じ方としては当たり前ですが、実際に計算すると可視化できます。

まとめ

『付加価値』について、額や率について触れてきました。実際に何が付加価値と呼ばれるかを含め、指標を覚えておくと何を指し示すのかが把握できます。トータル的に”売上”周りの”率”や用語を網羅するためには、各リンクを参考にしてみてください。

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