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売上原価の計算と製造原価との違いとは何なのかわかりやすく理解。

投稿日:2018年4月11日 更新日:

売上原価や製造原価は何が違って、何を指しているのか。どのような計算で求められるのか。全くの初心者であれば同じ”原価”という言葉で惑わされます。”原価率”という言葉もありますし、小売業や製造業で、人件費は原価の計算に含めるのか、売上原価に含む在庫の意味は。などあれこれ考えるとドツボにはまっていきます。簿記や経験のある方はそれほど迷わないですが、ここでは、原価とは何なのか、売上原価や製造原価の言葉の意味から何のことを示していて、何が違うのか、簡単に誰にでもわかりやすく概要が掴めるように整理していきます。また、”率”の計算については、関連記事を示していきますので、そちらを参考にしてみてくださいね。

『原価』とは何か

そもそも”原価”とは何を指しているのでしょうか。

『原価』とは、

一般に、商品やサービスを生産するためにかかったもともとの金額。または仕入の金額。費用やコストに近い意味で用いられるが、売上に対応する費用としてこの言葉が用いられる。通常、商品やサービスはこの原価に一定の利益を加えた金額で販売される。

出典:コトバンク

  1. 生産、製造のためにかかった金額
  2. 売上に対してそのモノやサービスにかかった金額

まとめるとこうなります。企業には”利益”が必要ですから、この原価に一定の”利益金額”を上乗せして、販売や提供して、お客様に買ってもらっています。

『売上原価』とは何か

“売れたモノ、サービスにかかった原価”

を意味します。

基本的には、“モノ”を仕入れて、販売する小売業で、使用される言葉です。

言い換えれば、“売上原価 ≒(ほとんど一緒) 仕入原価”となります。しかし、ここで注意しなくてはいけないのは、仕入原価とはいえ、“売れたモノに対しての仕入原価”である点です。

どういうことか見ていきます。

まず、大きく”企業の利益”と言われるときの利益は、”売上総利益”のことを指します。これは、

売上総利益 = 売上高 − 売上原価

の計算式で求めることができます。そして、この売上総利益は、“粗利益”とも呼ばれます。

関連記事 → 『粗利益、売上総利益について』

式から見ると、”売上原価”が金額的に小さければ、利益が大きくなることがイメージできるのではないでしょうか。

さて、本題に戻ります。

“売上原価”は、モノを販売する小売業では、“売れたモノに対して仕入れにかかる金額”のことでした。

例えば、1個150円でリンゴを販売するお店が、1個100円で100個リンゴを仕入れました。

すると、

仕入金額 = 100円 x 100個 = 10,000円

このうち、50個が売れました。その時の売上高は、

売上高 = 50個 x 150円(販売金額) = 7,500円

となります。

先の式に倣えば、

売上総利益 = 7,500円(売上高) − 10,000円 = −2,500円

あれっ!?おかしいですね。

これが、よくある間違いです。

売上原価は、“売れたモノに対しての原価”なので、この場合の売上原価は、

売上原価 = 100円(仕入金額) x 50個(売れた数量) = 5,000円

つまり、

売上総利益 = 7,500円(売上高) − 5,000円(売上原価/売れた) = 2,500円

2,500円の利益となります。仕入れた総金額の10,000円を差し引いて計算してはいけません。

そして、上記のリンゴは、お店は、品切れする前に発注して、品切れしないように通常はしますよね。その時、お店には仕入れる前に何個かリンゴの在庫が残っていて、仕入れたリンゴの何個かが売れて、また仕入れてを繰り返します。

例えば、4/1〜4/30までの期間(4/1を期首といい、4/30を期末といいます)で、4/1には、先月(3月)からの在庫10個残っていて、期中に先ほどの100個仕入れて、期末に50個残っていたとします。この期間に何個売れたでしょうか。

販売数量 = 10個(期首) + 100個(仕入れ) − 50個(期末残) = 60個

売上高 = 150円 x {10個(期首) + 100個(仕入れ) − 50個(期末残)} = 9,000円

売上原価 = 60個(販売数量) x 100円(仕入金額) = 6,000円

売上総利益 = 9,000円 − 6,000円 = 3,000円

となります。

この例では、一箇所から同じ金額で仕入れていることを前提としましたが、仕入金額に変動があったりすることもあります。その時にどうやって計算するのかは、各企業のやり方に合わせてください。また、ここでは、モノが1種類ですが、何種類あろうと仕入金額はそれぞれあるので、この式で計算できます。

関連記事 → 『先入先出法と平均法』

さらに、この売上原価という概念は、通常、期末の会計処理として行います。上記は、”販売数量”として計算しましたが、金額で一度で計算することも可能で、その際、計算式が”金額”となるだけになります。

売上原価 = 期首在庫金額 + 当期仕入高 − 期末在庫高

これが、基本の計算式です。念のため先例で確かめます。

売上原価 = (10個 x 100円) + (100個 x 100円) − (50個 x 100円) = 6,000円

結果、“売れたモノに対しての仕入金額”の言葉を意味している”売上原価”を計算することができています

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『製造原価』とは何か

“モノやサービスを作るためにかかった原価”

を意味します。

基本的には、“モノやサービス”を製造、生産する製造業で、使用される言葉です。製造から小売店へ流通、小売店がお客様へ販売の流れを手がけるようなメーカーでは、製造原価に利益を乗せて小売店に販売して、小売店は、販売価格から仕入価格を差し引いたものが利益となります。

関連記事 ↓

『掛け率について/上代下代卸値』

『定価、オープン価格、メーカー希望小売価格とは』

例えば、モノを製造するためには、材料部品費やそこで組み立てを担っているスタッフ、水道光熱費などの経費がかかっています。

この製造業における”製造原価”の計算には、何種類かあります。内訳としては、主に

  1. 材料費
  2. 労務費
  3. 経費

と分けて計算します。そこに製品になったもの、組み立て途中のもの、そのような区分での計算も必要となってきます。

詳細はこちらから→ 製造原価計算概要

まとめ

売上原価 → 主に消費者に販売する小売店で、売れた商品の原価

製造原価 → 主に製造業で、モノを作るための原価

このように捉え方が違います。

そして、小売業の広告宣伝費や人件費や製造業の販売するための営業費については、通常、売上原価には含めず、”販売費および一般管理費”という項目で計算されます。参考『損益計算書』

概要だけでも押さえておけば、自身の企業や視点で考えることができるので、覚えましょう。

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