稼働率の計算と可動率の計算式から違いまで生産性向上を求める方法

投稿日:2017年11月5日 更新日:

稼働率の計算や可動率の求め方、計算式とはどのようなものでしょうか。別名”べきどうりつ”と言われたりもします。英語では、Utilization rate(ユーティリゼイションレート)やan operating rate(オペレイティングレート)など様々ある稼働率そして可動率(Operational Availibility)。主に生産現場である工場や、コールセンター、旅館・ホテルなどの宿泊施設、システムなどにおいて計算される一つの指標です。MTBF(Mean Time Between Failures)、MTTR(Mean Time To Repair)というのもあります。この2つ率の明確な違いやそれぞれの示していること、計算式合わせてわかりやすく捉えていきます。簡単な例としては、会社員が9時〜18時(実働時間8時間、休憩1時間)というのをイメージするとよりわかりやすくなるでしょう。

稼働率とは

言葉の意味を調べてみると、

  1. 生産設備の総数に対して、実際に動いている設備の割合。操業率。
  2. <availability factor>コンピューターやネットワークなどのシステムが、ある一定期間の中で正常に稼働している時間の割合。故障や保守によって停止している時間を除いた割合を指す。平均故障間隔MTBFと平均復旧時間MTTRを使うと、稼働率はMTBF/(MTBF+MTTR)で表される。

出典:デジタル大辞泉

作業員や機械設備の実際稼働時間と全作業時間の比率。作業員についていえば,実働時間を作業者時間で除したもの。作業者時間とは,作業者が所定の作業を遂行するため工場に提供する全時間,実働時間は作業者時間から不働時間 (手待時間など) を引いたものである。機械設備についていえば,稼働率とは使用時間を設備時間で除したもの。設備時間とは,機械設備が設置の目的に従い所定の仕事をするため工場に提供する全時間,使用時間は設備時間から遊休時間を引いたものである。

出典:ブリタニカ国際百科事典

何だか少し複雑ですので、整理していきます。主に生産工場をメインとした言葉ですが、業界業種が異なったとしても該当する事象がありますよね。

引用文から読み取るなら、例えば、コールセンターであれば、作業者はオペレーターですし、ホテルなどはスタッフ、機械設備が客室になるでしょう。

よくわからない用語もありますので、一つ一つ分解していきます。

稼働率の計算方法

稼働率は、システムが正常に稼働している(動いている)割合を示します。そして、システムや人員が効果的に管理されているか、生産性、効率性、を示す指標です。

稼働率 = MTBF ÷ (MTBF+MTTR) 

    = 実働時間(拘束時間−休憩時間) ÷ 拘束時間

簡単な例では、勤務時間9時〜18時(休憩1時間・実働8時間)勤務のビジネスマンの場合を考えると

稼働率=(9時間−1時間)÷9時間 = 0.888….(約89%)

次に、MTBFとMTTRについてみていきます。

MTBFとMTTRとは

MTBF(Mean Time Between Failureの略)

平均故障間隔と訳されます。
故障が直ってから次に故障するまでの平均時間のこと(システムが正常に稼働している時間)

MTTR(Mean Time To Repairの略)

平均修理時間と訳されます。
故障を直すために必要な平均時間(システムが稼働していない時間)

MTBFの数値が高いほど信頼性が良いのは、一目瞭然です。

MTTRの数値が低いほど信頼性、保守性が良いといえます。

さて先ほどのビジネスマンの例で考えて計算式にあてはめてみましょう。

稼働率 = MTBF ÷ (MTBF+MTTR)

正常に稼働しているのは、休憩時間を除いた8時間(実働時間)、稼働してない時間は休憩時間なので1時間。つまりは、

稼働率 = 8時間 ÷ (8時間+1時間) = 0.888….(約89%)

先例と同じです。そしてこのカッコ内は拘束時間を表しています。

業界、業種が違えど、計算のやり方は一緒です。何の要素を充てるのかだけです。ここでは休憩時間としていますが、厳密には通常、休憩時間、手待ち時間や業務、作業、お客様対応をしていない時間は、MTTRに含まれます

ただし、コールセンター(オペレーター)や実店舗(スタッフ)、もちろん営業マンを含め、MTTRつまり稼働していない時間を何とするかは、各企業、各業界の管理方法に合わせましょう。

直列と並列

これは主に生産現場での機械やシステムに関係するものです。

  • 直列システム:左BOXと右BOXのどちらかが故障すると全体のシステムが止まります。
  • 並列システム:上BOXと下BOXの両方が故障すると全体のシステムが止まります。

直列システム(どちらかが壊れたら全体が利用できない)の全体の稼働率は、

稼働率 = 左BOXの稼働率 x 右BOXの稼働率

並列システム(両方壊れて初めて全体が利用できなくなる)の全体の稼働率は、

稼働率 = 1 − (1−上BOXの稼働率) x (1−下BOXの稼働率)

 

ホテル、旅館の稼働率とは

ホテルには、客室目線とお客様(定員)目線があります。そして、少し先述までとは違います。考え方の要素は同じではあります。

客室稼働率 = お客様が利用しているor販売済み部屋数 ÷ 利用可能な全部屋数

定員稼働率 = 利用されているお客様合計 ÷ 利用可能な全部屋定員数

修繕や壊れて使えない部屋は、MTTRにあたります。

例えば、全部で100室あるホテルで利用している部屋数が50室の場合

客室稼働率 = 50室 ÷ 100室 = 0.5(50%)

利用している50室(1部屋:定員2人)でお客様合計が25人の場合

定員稼働率 = 25人 ÷ 200人 = 0.125(約13%)

わかるでしょうか。1部屋(定員2人)にお客様は、1人ずつしか宿泊していないのです。

これが50室で定員通りに2人が宿泊した場合

定員稼働率 = 100人 ÷ 200人 = 0.5(50%)

大きく変わりますよね、同じ部屋数が利用されているにもかかわらず、宿泊人数に左右されてしまいます。経営の指標にするにはやはり、客単価を考える必要があります。1部屋が1日どのくらい稼いでいるのかを同時にみなくてはいけません。

客室売上高 ÷ 全利用可能部屋数

つまり、客室稼働率 ÷ 平均客単価(売上高÷客数)

これで示すことができます。

これは、飲食店の座席回転率と考え方は似ています。つまり、必ずしも1部屋に対して定員通りのお客様が宿泊するとは限らないということです。

その他の”率”→ 『ロス率』  『在庫回転率』  『利益率と粗利率と原価率』

『人件費率』  『付加価値率』 『GMROI』

 

稼働率と可動率の違い

“字”にすると稼働率というものと可動率というものがあります。どのような指標かにより大きな違いがあります。

稼働率

フル稼働して正常に動いている割合を表します。稼働率をあげるには、当たり前ですが、例えば、お客様を増やすや顧客(受注)などを上げる策が必要です。

可動率

動かしたい時に正常に動いていた割合を表します。当たり前ですが、これは100%を目指していかなければいけません。使いたい時に故障していたら、スケジュール通りに進まないなど何にもなりませんよね。

可動率も計算式は稼働率と同様です。つまり、それぞれが何を示しているのかを知っておくことが大切なのです。

まとめ

稼働率は、生産性や効率性を示す指標で、必ずしも工場のような生産現場だけで利用できる概念ではありません。先述の例のようにビジネスマンだって十分計算できます。サービス業であれば、ホテル・旅館のみならず、マッサージやカラオケ店だって計算していけます。

つまり、要素が何かのみが違い、基本となる計算はどれも同じなのです。

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