複式簿記と単式簿記(簡易簿記)の違いとは何か。帳簿の種類も整理
投稿日:2018年2月15日 更新日:
複式簿記や単式簿記(簡易簿記)、確定申告の時期になると青色申告だと〜、白色申告だと〜と出てくる言葉ですが、そもそもそれだけに関わるお話ではなく、企業の経理、個人事業主(フリーランス)であれば、必要最低限知っておきたい記帳方法です。複式帳簿や簡易帳簿と呼ばれることもあり、簡単に言えば帳簿(ノートみたいなもの)の種類や書き方(仕訳の仕方)が異なります。そして、簿記とは、それら帳簿と呼ばれるものに”企業の財産やお金に関する社内や社外でのやり取りを記録すること。または、記録するための手法、ルール”です。その簿記で記録したものによって”企業が儲かっているのか、財務状況はどうなのかを記録、報告する手続き”が、”会計”と言われるものです。ここでは、簡単に複式、単式(簡易)簿記の違いや帳簿の種類についてわかりやすく解説します。
『単式簿記(簡易簿記)』と『複式簿記』の違い
『単式簿記(簡易簿記)』とは
取引を収益(収入)と費用(支出)で記録する方法です。1つの科目(現金など)だけで記録するとも言えます。
例えば、家計簿やお小遣い帳のようなものをイメージしてください。
- 4/1:100,000円収入があった。(収入)
- 4/3:家賃20,000円を支払った。(支出)
のような感じです。非常にシンプルなもので、銀行の通帳に表記記載されている方法は、単式簿記(簡易簿記)と言えます。
“いくらお金が入ってきて、いくら使ったのか”のをシンプルにまとめていって、毎月末に区切るのであれば、最終的に収入から支出を差し引けば、残高が判明します。
一方で、何にお金が使われて、どこからお金が入ってきたのかが、分かりにくいと言う特徴があります。各家庭程度であれば、把握できますが、これが企業となるとまた違う話になります。
『複式簿記』とは
取引を収益(収入)と費用(支出)に加えて、増減した資産や負債までを記録する方法です。複数の科目(現金など)を使い、取引の二面性(原因と結果/動きと動いた理由)記録するとも言えます。
先ほどと同様の例でみると
- 4/1:100,000円収入があった。(収入)
- 4/3:家賃20,000円を支払った。(支出)
これは、”現金”という科目でつけているノートみると100,000円の収入(現金の増加)、家賃に20,000円の支出(現金の減少)になります。そして更に”経費”という科目でつけているノートがあるとすると、家賃20,000円の増加(費用の増加)、現金20,000円の減少(資産の減少)と記録していくことになります。
複式簿記は、複雑になり、ルールもあります(単式にも有り)が、お金の流れがハッキリとする特徴があります。
これらを記録していく上で”現金”のような元になる項目を『勘定科目』とい言います。また、その勘定科目を記録していく該当するノートを『帳簿』といい、帳簿にルールに沿って記録する技術、手法が『簿記』となります。
簿記には、”仕訳”というものがあり、勘定科目や増減によって、”借方(かりかた)””貸方(かしかた)”のどちらに記録するかルールがあります。
『仕訳、借方、貸方について』→ 借方貸方どっちの覚え方。左右どっちに迷う仕訳を簡単に–基礎編–
帳簿の種類
複式簿記と単式簿記(簡易簿記)には、それぞれ必要な”帳簿”の種類が異なります。
共通する基本的な帳簿は、次の5つとなります。
- 現金出納帳:現金の出入りを記録する帳簿
- 預金出納帳:事業用の銀行口座の入出金を記録する帳簿
- 経費帳:経費(家賃や事務用品など)について記録する帳簿
- 売掛帳:取引での売上高と売掛金の回収について記録する帳簿
- 買掛帳:取引での仕入高と買掛金の支払いについて記録する帳簿
これらの帳簿は、『補助簿』と呼ばれます。
複式簿記には+αの帳簿が必要となり、それが次の2つです。
- 総勘定元帳:”売上”や”仕入”など科目に分けて記録する帳簿
- 仕訳帳:全ての取引を日付順に記録する帳簿
これらの帳簿は、『主要簿』と呼ばれます。
特にモノなどを仕入れて販売を行なっていなければ、売掛帳や買掛帳が必要なくなります。
更に、決算書として、
単式簿記では、”損益計算書”
複式簿記では、”損益計算書”と”貸借対照表”
を作成できます。
『損益計算書について』→ 損益計算書(P/L)の見方を簡単に。わかりやすく読み方を確認。
『貸借対照表について』→ 貸借対照表(B/S)の見方を簡単に。わかりやすく読み方を確認。
『決算書の読み方について』→ 決算書とは何か。見方、作り方、読み方、提出前にまずは基本から
まとめ
白色申告は、単式簿記。青色申告は、複式簿記となり、税金面での控除にメリットがあります。そのため、個人事業主やフリーランスは、複式簿記で青色申告がお得というわけです。
そして、各帳簿やその内容、仕訳のやり方には、簿記の知識が最低限必要となるため、先に列挙した各帳簿の理解しにくいかもしれません。しかし、最近は会計ソフトが充実しており、それらを意識しなくても自動で作成できます。それでも「基礎だけは」と思われる方は、是非、各リンクを参考にしてみてください。
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