決算書とは何か。見方、作り方、読み方、提出前にまずは基本から
投稿日:2017年12月30日 更新日:
英語では、Financial Statements(ファイナンシャルステイトメンツ)または、Statement of Accounts(ステイトメントオブアカウンツ)と表し、財務諸表、精算書というように大枠で表記されます。そもそも決算とは何かから、必要書類まで、ここでは基本的な概要、意味を簡単にわかりやすく説明していきます。また、ポイントや分析の基本についてもご紹介していきます。
会計期間について概要
まず、”決算”を知るに当たって、基本を整理しておきます。
会計期間:会計年度、事業年度とも呼ばれ、企業会計において、財務諸表を作成する対象となる期間(1年間)のこと。
多くの日本企業は、4月から翌年3月末までを1会計期間として設定しています。しかし、期間設定の定め方には決まりがないため、業界によっては違う場合があります。前者期間が多く採用されているのは、役所などの公的機関の会計期間(税法)に合わせているためです。また、個人事業主は、1月から12月を1会計期間とすることが決められています。
そして、会計期間の始まりを“期首”といい、終わりを“期末”といいます。期末は、“決算日”とも呼ばれます。
なお、正規の会計期間に対して、半年ごとを”中間決算”と呼び、中間決算前半6ヶ月を“上期(かみき)”、後半6ヶ月を“下期(しもき)”といいます。さらに、3ヶ月ごとを”四半期決算”といいます。
例えば、4/1〜翌年3/31を会計期間とした場合、
- 上期:4月〜9月末まで
- 下期:10月〜3月末まで
- 四半期:4月〜6月末(第1四半期)、7月〜9月末(第2四半期)、10月〜12月(第3四半期)、1月〜3月(第4四半期)
これら1会計期間の最後の決算日が“年度末”と呼ばれています。
*月次決算:毎月、月末に行われる決算のこと
決算とは
決算とは、『一定期間の収入、支出を計算して、利益又は損失(損益)をまとめること』
それを示す報告書類が『決算書』です。正式には『財務諸表』のことを示します。企業がどのくらい儲けて、何に使っているのか、企業(経営者)の通信簿といっても良いです。
そして、1会計期間の財務状況や経営成績が決算書としてまとめられ発表されるのです。日本では最低でも1年間に1回決算を行なうことが法律で定められており、申告や発表することが義務となっています。
なぜ決算書は必要?
株式会社は、何かしらの事業のために元手を出資する「資本家」と実際に会社の経営を任される「経営者」が存在します。(所有と経営の分離)
資本家が出資したお金等を使って、効率的に会社経営をして、資金(お金など)を増やし、利益を資本家が分配してもらう。これが株式会社の仕組みです。
この利益配分にあたって、もし資本家であれば、会社の収益や損失、どのくらい儲かった?何に使った?今、会社はどんな状況(財政的に)?など知りたくなりますよね。そして、それを話されただけでは、真実味に欠けます。
そのため、それらを具体的にわかりやすく且つ詳細にまとめた報告書類が必要です。
これが、「決算書」となるわけです。
決算書(財務諸表)とは、数種類ある報告書類を総称です。
決算書の種類
一般的な決算書類(財務諸表)には、下記があります。
- 損益計算書
- 貸借対照表
- キャッシュフロー計算書
- 株主資本等変動計算書
- 注記表
- 事業報告
- 製造原価報告書(製造業)
この中で主な3つが、損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書です。
損益計算書
事業年度に企業がどのくらい利益を得たのかを計算した報告書類。利益を出すまでの計算過程も報告しなくてはいけません。
事業年度における営業(本来の営業、モノなら販売、サービスなら提供とその他の収益と費用)の経営成績(どのくらい利益が出て、どのくらい損失が出たのか)を示すもので、『収益』と『費用』を対照した一覧です。
英語でのProfit and Loss Statement(プロフィットアンドロスステイトメント)を略して、P/L(ピーエル)と呼ばれます。
詳細→ 損益計算書(P/L)を簡単にわかりやすく見方、読み方を確認してみる
貸借対照表
企業の財務状態を示した報告書類。
企業が事業を進めて行くにあたって、お金(資金)が足りなくて借金したりします。どんな方法でお金を集めて、どんな風に使ってきたのかの詳細となります。
『資産』『負債』『資本』と項目を分けて、それらを対照した一覧です。
英語でのBalance Sheet(バランスシート)を略して、B/S(ビーエス)と呼ばれます。
詳細→ 貸借対照表(B/S)を簡単にわかりやすく見方、読み方を確認してみる
キャッシュフロー計算書
企業にとって“使えるお金(キャッシュ)”がどのくらいあるのかの報告書類。
損益計算書で儲けも出ていて、貸借対照表で資産、借金などを確認できたとしても実際に使えるお金がないと意味がありません。例えば、モノを販売していたとしても入金が何ヶ月後となる場合も考えられます。そのため、”実際に使えるお金”に焦点をあて、
『営業活動』『投資活動』『財務活動』に分けて、それぞれの活動における資金の動き(流れ)の一覧です。
英語でのCash Flow Statement(キャッシュフローステイトメント)を略して、C/F(シーエフ)と呼ばれます。
株主資本等変動計算書
企業の儲けを“どのように配分するか”を示した報告書類。
儲けが出たら、資本家への配当金、経営をしてきた経営者の役員報酬、会社の今後のための備えなどをしますが、このように儲けた利益(剰余金)をどう変動させるのかを表しており、そのどう変動させるかを決定するのが、「株主総会」です。
『資本金』『余剰金』『自己株式』などの変動内容の計算書です。
注記表
損益計算書や貸借対照表など財務諸表についての補足情報をまとめたものです。
個別注記表といわれ、表記すべき項目は、会社法により規定があります。
事業報告
事業年度における会社の営業状態に関し、重要な事案、課題、事業内容を報告する書類。
注記表とともに文章で企業活動が表記されます。その他書類は、金額という数値で表記されます。
製造原価報告書
製造業では、製造するためにかかった費用(原価)を一覧にします。
- 材料費
- 労務費
- 経費
このような項目に分け作成し、各項目の費用をチェックします。
まとめ
財務諸表における、ポイントや分析については
こちら→財務諸表分析の指標目安と意味とポイントを見方一覧で簡単整理
を参考ください。
簿記の語彙の知識がないと内容の中身は、理解しにくいかもしれません。しかし、財務諸表の各報告書が何を示したものかの大枠は理解できたのではないでしょうか。
「会計期間」「決算」の意味はビジネスマンの基礎知識となりますので、少なくても把握しておきましょう。
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