損益計算書(P/L)の見方を簡単に。わかりやすく読み方を確認。
投稿日:2017年9月13日 更新日:
貸借対照表(B/S:Balance Sheet/バランスシート)と並び、損益計算書(P/L:Profit and Loss statement)は財務諸表の一つです。借方、貸方に収益と費用を示し、企業が一会計期間に売上、収入(収益)がどれだけあって、費用がどの程度かかって、結果、どれだけ儲け(利益)があったのかを表す表です。簿記のルールに則って作成されますが、構造を読み取れれば、理解することができます。自動化なども進み、あまりそれぞれの意味を認識することが薄れてきていますが、これらを知っておくことは、ビジネスマンならずとも大切です。
損益計算書
損益計算書は、一会計期間に収益と費用がどれにいくら収入があって、使用したかを計算して、利益または損失(当期純利益、当期純損失)を記す書類で、会社の経営成績(儲けているのか、損しているのか)を表します。
売上総利益までの項目
*ピンクのマイナス、青のプラスは、引く(−)、足す(+)を示しています。
①売上高
会社のモノやサービス販売により稼いだ利益です。
②売上原価
(期首商品棚卸高 + 当期商品仕入高) − 期末商品棚卸高で計算します。
売上原価は、売れた商品の仕入に、金額がいくらかかったかです。仕入れたけれど、売れなかった商品は、売上原価とは言いません。
期首棚卸高は、月初に倉庫やお店にある商品の在庫金額です。
当期仕入高は、月中に仕入れた商品金額です。
つまり、この2つを足す(+)ことで現在持っている商品の仕入金額(仕入れるのにかかった金額)がわかります。
全部売れてしまえば良いのですが、月末などに商品が残っているのが通常です。売上原価は、売れた商品の仕入にいくらかかったかですので、月末に倉庫やお店にある商品の在庫金額を期首棚卸高と当期仕入高を足した(+)ものから引き(−)ます。これが期末棚卸高です。
(A)売上総利益
売上総利益とは、会社の商品やサービスを売ることによってもたらされた利益(売上)で、会社の基本となる利益です。
売上総利益 = 売上高 − 売上原価
在庫を持たないような業種では、売上原価は0(ゼロ)ですので、売上総利益=売上高になります。
上表の例では、売上高が10,000円、売上原価が800円で、売上総利益が9,200円となっています。
営業利益までの項目
③販売費及び一般管理費
- 広告宣伝費
- 支払い手数料:何か支払った際の手数料など
- 減価償却費:年月が経つと古くなって価値が下がっていくもの、高額で長期利用できるものを経費として計上していく
- 人件費:従業員の給与
- 賃貸料:テナント費用、家賃
- 旅費交通費
このような項目があり、主として、商品やサービスをお客様に提供するにあたり、支出する経費となります。
(B)営業利益
営業利益とは、会社の本業(主たる営業活動)で稼いだ利益です。スーパーなら食品類、自動車メーカーならその自動車の商品売買で得られた利益です。そして、それを売るためにかかった経費や管理に要した費用が、販売費及び一般管理費となります。
営業利益 = 売上総利益 − 販売費及び一般管理費
上表の例では、売上総利益が9,200円、販売費及び一般管理費が1,050円で、営業利益は8,150円となっています。
経常利益までの項目
④営業外収益
会社の本業(主たる営業活動)以外で稼いだ利益です。
- 仕入割引:仕入れた際、大量仕入れなどにより取引先に値引きしてもらったなど
- 受取利息
- 受取配当金
- 有価証券利息
⑤営業外費用
会社の本業(主たる営業活動)以外で支出した費用です。
- 支払利息:金融機関からの借入の際、支払う利息など
- 売上値引:販売商品や製品に傷や汚れ、品質不良などがあったための値引き、返品など
- 有価証券損
(C)経常利益
経常利益とは、会社の本業(主たる営業活動)以外で稼いだ利益を加味して計算するものです。つまり、会社の副業で稼いだ利益を加味すると言えます。営業外収益は、株の売買など、営業外費用は、借入金の支払利息などがあたり、収益から費用を差し引きます。
経常利益 = 営業利益 − (営業外収益 − 営業外費用)
上表の例では、営業利益は8,150円、営業外収益150円、営業外費用100円で、経常利益は8,200円となります。
税引前当期純利益までの項目
⑥特別利益
その時(期)だけに特別に発生した利益のことです。
- 不動産を売った利益
- 株を売却した利益
⑦特別損失
その時(期)だけに特別に発生した損失のことです。
- 不動産を売ったが損をした損失
- 火事などによる火災損失
(D)税引前当期純利益
名前の通り、税金を引く前の利益となります。
税引前当期純利益 = 経常利益 − (特別利益 − 特別損失)
上表の例では、経常利益は8,200円、特別利益200円、特別損失100円で、税引前当期純利益は8,300円となります。
当期純利益までの項目
税引前当期純利益とあったように、この項目は主に法人税、都道府県税、事業税などの税金類です。
(E)当期純利益
これが、会社の最終的な利益、1年間で稼いだ利益です。
当期純利益 = 税引前当期純利益 − 税金類
上表の例では、税引前当期純利益8,300円と、法人税200円で、当期純利益は8,100円となります。
借方、貸方
簡単に説明しますと、簿記の仕分けをする際に、表の左側を借方、右側を貸方と呼びます。そして、借方と貸方の合計は、必ず等しく(=イコール)なるというルールがあります。
- 借方:資産(費用)
- 貸方:負債、資本(収益)
参考:借方貸方どっちがどっちと左右の覚え方に迷う仕訳を基本から簡単に-基礎編-
今回の例をあげるとこのようになります。
よく「年商◯◯円くらいですかね」と耳にすることもありますが、これは、売上高のことを言っています。何も足したり引いたりしていない売上高です。手元に残る利益とは別です。
ですので、年商1億円だとしても実際残るお金は2,000万円になったりします。だからこそ、経費削減などが謳われるのです。そして、それらが今説明してきました各項目に潜んでいます。
貸借対照表はこちら→貸借対照表(B/S)の見方を簡単に。わかりやすく読み方を確認。
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