商談のコツをバイヤーや営業マンが押さえておく提案ポイントを知る

投稿日:2017年8月11日 更新日:

商談とは、取引先との交渉、折衝。広義の意味では、プレゼンテーションなんて言葉も入るでしょう。これは、バイヤーや営業マンには欠かせない業務の1つです。成功すれば契約になりますし、失敗することもあります。つまりは、取引先との話し合いの場で、自社製品なりを売る側、仕入れる側で意見調整し、納得して契約してもらうための機会です。そんな商談を成功させるための基本的考え方と役立つ方法を説明していきます。

基本的な考え方

まず心得ておかなくてはいけないのは、あくまで“相手との信頼関係を築くことにある”ことです。自分の主張を頑なに変えず、強引に受け入れてもらうことではないということです。話し合いの場ですので、主張や説得を繰り返し、意見交換をしてお互い歩み寄って契約を交わすのです。そのためには、納得できる論理性は必須となります。しかしながら、絶対に譲れない部分(自社のブランディングや製品の価格面など)があったとしたら、無理に交渉を継続せず、見限る判断も重要です。

論理性を保つための3つの基本

  1. 相手との納得、違いの整理
  2. 商談相手を理解する
  3. メリットだけでなく、デメリットもきちんと伝える

相手との納得、違いの整理

相手との共通点、相違点の整理とは、相手との交渉で何が納得を得て、何が違ったかということです。納得を得ている部分に関しては良いとしても違った部分では、条件なのか、そもそも全部なのかと考える必要があります。実際話す場面では、状況が常に変化していくため、絶えずこの2つ(納得を得たか、違ったか)について意識し整理し続けることがポイントになります。

商談相手を理解する

ここでいう相手は、取引先の”企業”もそうですが、商談する”ヒト”です。その”ヒト”を理解しようということです。経験豊富で知識が豊かなのか、細かい部分にこだわる人なのかなどです。交渉する相手は、人間ですから性格もタイプも様々です。その中で、その人にあった説明やプレゼンを行うことが大切となります。最も初対面であなたも相手も知らないというときは、この”ヒト”に対する何の情報もありません。その際は、相手も初めてですので、こんなことまでと思われるくらい、提案を丁寧に説明することから始めると良いでしょう。そうすると相手の”ヒト”が見えてきます。

メリットだけでなく、デメリットをきちんと伝える

どうしても初めは、うちは◯◯が良いんです!などメリットだけを列挙しがちです。そりゃそうです、契約して欲しいですから。しかし、それを理解してもらい、さらに◯◯は、他社に劣りますがとネガティブ情報をきちんと伝えることで、相手は相対的判断ができます。メリットがあるのはもちろんデメリットも伝えます。最初にあるようにヒトとヒト、企業と企業の”信頼関係”なのです。

商品提案のポイントとプレゼン資料作成の構成を考えるのに役立つコツ

商談に役立つ4つの基本的な方法

交渉術やそのテクニックにアメリカでは古くから4つあげられることが多く、知らずにこの手法を日本でも行なっている人はいるのではないでしょうか。

  1. Low Ball / High Ball (ローボール/ハイボール)
  2. Good Cop and Bad Cop (良い警官と悪い警官)
  3. Weigh Options (二者択一)
  4. Bobey (重要でないものを重要であるかのように装う)

Low Ball / High Ball (ローボール/ハイボール)

相手が全く受け取れないボールを投げた後に、相手が拾えるボールをを投げることで自分を有利にして交渉する方法です。つまりは、相手に想定外の厳しい条件を出した後、徐々に条件を緩めていくテクニックです。

Good Cop and Bad Cop(良い警官と悪い警官)

警察で優しい警官と怖い警官が交互に出てきて、相手を落とす方法です。交渉に部下を出して強気な交渉をし、それが暗礁になったところに上司が登場して、相手の言い分も受け入れる姿勢を見せるテクニックです。

Weigh Options (二者択一)

もし、この条件を承諾しなければ、取引中止をする方法です。相手には承諾か取引中止かの二者択一しかないということです。しかし、状況によってはそれ以上の危険性も孕んでいます。ここまで極端でなくとも、発注数量は、100か70かのどちらかのように緩めの選択にも利用できます。

 Bogey (重要でないものを重要であるかのように装う)

条件が客観的には有利ではないものを、あたかも有利であるかのように振舞って交渉する方法です。このように振舞うと、最終的に有利かつ重要でない項目を勝ち取ってしまうことも有りうるので、使い所が難しいものです。例えば、交渉の要素やカードがなくなってしまったときに、有利や重要でない項目に対して本当に有利で重要な項目であるかのように相手の妥協を引き出すときに使ったりします。

囚人のジレンマ

双方の譲歩が最良の結論であるにもかかわらず、信頼性が欠けたり、抜け駆けを考えると相互不信が起こって最悪の結果になるという理論です。

同一事件の共犯で逮捕された2人(AとB)が、警察から「Aだけ自白したら釈放するけど、Bも自白したら2人とも5年の刑を科す。逆にBだけ自白すればBは釈放、Aは10年の刑を科す。A、Bどちらも自白しなければ2人とも3年の刑を科す。」とそれぞれ個別に伝えます。

自分がAだと仮定すると一番いいのは、

  • 自分が自白する
  • Bは自白をしない

釈放です。しかし、自分(A)もBも自白したら5年の刑。Bだけ自白したら、自分(A)が10年の刑という最大の不利益。2人とも自白しなければ3年の刑です。全体として2人の利益を考えると、どちらも自白せず、互いに3年の刑を受けることです。しかし、自分にとっての最大の利益は、自分だけ自白して釈放なので、自白か黙秘かでジレンマ(葛藤)が生ずるというものです。

取引交渉の場面では、一方的な利益でなく、信頼のもと、お互いの共通かつ最大の利益を求める姿勢が必要という一つのお話です。

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