円安円高の意味や違いをわかりやすく覚え、仕組みや基準は何だろう
投稿日:2018年1月9日 更新日:
円安、円高とは、どっちがどっちでしたか?円安ドル高、円高ドル安。輸出や輸入の貿易、旅行やショッピングにメリットやデメリットが存在するというけれど、どんな基準や要因、仕組みでなされているのでしょうか。意味や違いから覚え方まで分かりやすく整理していくので、役立ててください。因みに、直訳ですが英語では、a weak yen(円安)、a strong yen(円高)。”weak(ウィーク)”は”弱い”ですし、”strong(ストロング)”は”強い”なので、そのままなのです。では、早速みていきましょう。
為替相場とは
まず、これを知っておかなくてはなりません。日本の”円”というお金は、海外では使えないですよね。旅行に行くとします。その際、日本のお金”円”を”現地のお金”に交換します。そして、その現地のお金でショッピングしたりして、余れば、また日本に戻ってきたときに”現地のお金”を”円”に交換します。
これは、個人的な範囲でこのようにしていますが、海外との国同士や企業同士でモノやサービスの売買をする場合にも、”現地のお金”でやり取りする必要があります。
その通貨の交換比率を”為替相場”といいます。1ドル=100円や1ユーロ=100円って聞いたことありますよね。
この為替相場は、“円”を手に入れたい人(需要)と“円”を手放したい人(供給)とのバランスで決定します。
“需要”の方が多ければ、”円高”、”供給”の方が多ければ、”円安”となります。
これらを分かりやすくみていきます。
『円高』『円安』とは 。- 基本 –
まず、『円高』『円安』は、”日本円”から見た視点ではなく、
外国通貨から見て、日本円の”価値”が高いのか低いのか。
を示しています。
そして、重要なのは、”金額”ではなく”価値”ということです。
例えば、日本円で1個100円のリンゴがありました。
私は、1ドル持っています。
もし、1ドル=100円であれば、1個買うことができます。しかし、1ドル=50円だと買えません(買うのに2ドル必要)。さらに1ドル=200円だったとしたら、2個買えることになります。
今度は、1個1ドルのリンゴがありました。
私は、100円持っています。
もし、1ドル=100円であれば、1個買うことができます。そして、1ドル=50円だと2個買えます。さらに1ドル=200円だったとしたら、買えないことになります(200円あれば1ドルにできる)。
『円高』『円安』は、外国通貨からの視点です。
“1ドルの価値”、外国から見た”円”は、先例ではどれがお得ですか。
リンゴが2個買える1ドル=200円が得ですよね。
つまり、1ドルで2個買える(200円持っていないと1ドルに交換できない)ということは、1ドルの価値が日本円の価値より高いことになります。
ドルの価値が高く、円の価値が安い。
これが『円安』。そして『円安ドル高』という状態です。
一方、1ドル=50円のとき、買うには2ドル必要(100円持って入れば2ドルにできる)になります。このとき、1ドルの価値が日本円の価値より低いことになります。
ドルの価値が低く、円の価値が高い。
これが『円高』。そして『円高ドル安』という状態です。
ごく単純かつ簡単に考えてみましょう。
1ドル支払えば、200円のモノを買える価値と、1ドル支払いで50円のモノが買える価値。あなたが1ドルを持っていて、日本円に換金しようとしたら、どっちの時に買えたいですか。もちろん200円ですよね。
なぜですか?
それは、1ドルの価値が”日本円”で考えると高いからですよね。
混乱してしまうのは、日本円のさらには”金額”で捉えてしまうからです。
『円高』『円安』を考える時には、2つの視点が重要です。
- 外国通貨の視点で考える。
- “金額”ではなく”価値”で考える。
1ドル=100円をイメージして、50円になったらドルの立場から安い。つまり”円”はその逆(円高ドル安)。200円になったらドルの立場から高い。つまり”円”はその逆(円安ドル高)。と覚えるのが早いです。
これらを語る際、必ず例となるのが、輸出入をする企業です。ここまでの基本を覚えておくと何となくイメージできます。
輸入と輸出を考えてみる。
例えば、10,000ドルのモノがあります。
企業Aは、購入し、輸入しました。
この当時、1ドル=100円でした。(基準)
購入金額:100円 x 10,000ドル = 1,000,000円
企業Bが、同じモノを購入し、輸入しました。
この時、1ドル=80円でした。(円高)
購入金額:80円 x 10,000ドル = 800,000円
企業Aと企業Bでは、企業Bが20万円も安く購入、輸入できています。逆に、輸出した企業を考えてみてください。
企業Aの時に輸出した時より、企業Bに輸出した時には20万円損したことになります。たった20円の差なのにです。
つまり、『円高ドル安』の状況下では、
“輸入には有利、輸出には不利”
になります。
同様の例で次のことを考えてみましょう。
10,000ドルのモノがあります。
企業Aは、購入して輸入を考え、お金を換金する準備をしました。
当日、1ドル= 80円でした。(基準)
準備する金額:80円 x 10,000ドル = 800,000 円
翌日、800,000円を準備して換金に向かいます。
ところが、購入しようとしたこの日、
1ドル=100円になっていました。(円安)
企業Aは、800,000円を用意していたので、これでは、
800,000円 ÷ 100円 = 8,000ドル
にしか換金できません。2,000ドル足りなくなります。
あれっ!?足りない!
100円 x 10,000ドル = 1,000,000円
が必要でした。つまり、200,000円が更に必要だったということです。
企業Aは、輸入するために20万円多く支払わなければいけなくなりました。逆に、輸出する企業を考えてみてください。
輸出する時には20万円収入が増えることになります。たった20円の差なのにです。
つまり、『円安ドル高』の状況下では、
“輸出には有利、輸入には不利”
になります。
よく、旅行や海外ブランドで「円○ドル×還元!今が買い時!」と日本で謳っているときは、どちらでしょうか??
答えは、『円高ドル安』です。あれっ!?となったら、今一度説明をみてください。
海外旅行していて、ショッピングするときは、どうですか?
これも『円高ドル安』です。輸入の考えと同じです。1ドル=100円のとき買うより、1ドル=80円のときの方が20円得しますよね。
でもこの『円高』『円安』は、なぜ起るのでしょうか?
『円高』『円安』の要因
これには、いくつか要因がありますが、お金にもモノと同様に”需要”と”供給”があります。
- 輸出が好調になる→海外通貨が増える→日本円に換金するので”円”の需要(人気)が高まり足りなくなる→”円”の価値が上がる→円高ドル安
- 資産、投資として1ドル=100円で持つ→1ドル=120円になったとき換金して20円得する→これを行う人が多数いると”ドル”の需要(人気)が高まり足りなくなる→”ドル”の価値が上がる→円安ドル高
- 日本は景気が悪い→日本企業の利益が減る→日本企業の”株”が売られる→売って得られた”円”を”ドル”換金する→”ドル”の需要(人気)が高まる→円安ドル高
これらは一部の例ですが、何となくでも理解できます。
モノにも”需要”と”供給”があると説明しましたが、これは、日本国内における”インフレ””デフレ”に深く関係しています。今回の概念をより理解するために参考にしてください。
『インフレ』『デフレ』→ デフレ/インフレ/スタグフレーションどっちの意味で覚え方違った
ところで、どこからが”円高”、どこから”円安”でしょうか?何が基準なのでしょうか?
『円高』『円安』の基準
結論から言います。
「基準は、ありません!」
国際的に「このようにしましょう!」というのもありません。
それぞれの立場、時期で決まります。1ドル=100円のときに輸入して、手許にドルがあって、円に換金しようとしたとき、1ドル=120円になっていれば、円安となります。このとき、同時に1ドル=150円のときのドルを円に換金しようとしたら、円高ですよね。
ただし、一般的に考えた場合、GDPなど経済指標が3ヶ月ごとに発表されるため、その間の平均為替レートが基準となります。過去3ヶ月平均が1ドル=100円で、現状が1ドル=80円であったら、円高と発表されます。
『GDP』について→ GDPの名目/実質や経済成長率の計算と違い。意味使い分けてる。
結局どっちが得なの?
今まで説明したことを振り返ると
輸出大国であれば、”円安”。
輸入大国であれば、”円高”。
です。これは、一つの企業としてみたときのメリット、デメリットも同様です。
まとめ
『円高』『円安』を説明してきました。
ただし、企業は、利益が減ってしまうと私たちのお給料も上がらず、国内の消費も上がらず、不景気なんてことになることも認識しておきましょう。*詳細は、本文内リンク*
そして、何より『外国通貨から見た日本円の”価値”』で”高””安”を判断する基本を押さえておきましょう!
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