1票の格差とは何なの?わかりやすく意味と計算を理解してみよう。
投稿日:2019年7月10日 更新日:
“1票の格差”ってよくわからない。国政選挙(衆議院/参議院)、所謂”選挙”が行われた後に、◯倍の格差があるなどニュースで流れます。「〜裁判所は、xxの○選挙を違憲状態としました。」と。この格差とは、1票の”価値””重み”に差があることなのですが、これって一体何のことを言っていて、どんな意味があるのでしょうか。ここでは、簡単にわかりやすくポイントを押さえていきます。
『1票の格差』とは
例えば、A地区は人口100人、B地区は人口50人。当選する人はA,B地区とも1人とします。そして、50%の票を集めたら当選すると仮定すると、
A地区:50票で当選
B地区:25票で当選
となります。
しかし、A地区では25票を獲得した人は、落選なのです。
投票する人(有権者)側で考えると各々1票が、B地区では、A地区の半分の影響しかない??と考えられます。
何となくでも「あれっ??」て思いませんか?何か不公平だと。
「だったら、B地区で立候補すれば、当選したよ!」と立候補者は思うかもしれません。
「いやいや、都道府県で人口(有権者:投票する人)が違うから、仕方ないでしょ。」と考えるかもしれません。
つまり、『1票の格差』とは、
という不平等さのことです。
単純に考えれば、人口の多い地区ではこの”価値や重さ”は、小さくなり、少ない地区では、大きくなります。
どういうことなのか。先例でみていきましょう。
格差の計算
先例にて、
単純計算で、当選(定数と呼ばれます)は1名なので、
A:B=50:25=2:1(50÷25=2)
A地区とB地区の1票には2倍の差があります。
これが、
「今回の選挙では、〜1区と〜2区の最大で◯倍の格差がありました。」
とニュースで流れるのです。
1票の格差(価値・重さ)の計算自体は、有権者数を議員定数で割った“議員1人あたりの有権者数”を考えます。
有権者数(投票する人数) ÷ 議員定数(当選する人数)
で表すことができます。
先例では、上記に示したように、有権者A地区100人、B地区50人で議員定数は1人です。
A地区:100 ÷ 1 = 100 B地区:50 ÷ 1 = 50
100 ÷ 50 = 2倍
となるわけで、A地区とB地区の1票の格差は2倍ということになります。これがA地区で議員定数(当選する人)が2人、B地区1人であると等しくなります。つまり、“1票の格差がない“と単純にはなるのですが、都道府県、そう簡単にはいきません。全体の議員になれる人数は決まってますし、有権者数も日々引越しなどで変動があります。ですので、なかなか難しい問題でもあるのです。
しかし、そもそも、なぜ等しくしなくてはならなくて、且つ問題なのでしょうか。
法の下の平等
憲法14条に”法の下の平等”という記述があります。詳細は割愛しますが、
「すべての国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において差別されない。華族その他の貴族の制度は、これを認めない。」
とあるのです。
これは、選挙における国民一人一人(有権者)の1票の価値、重さにおいても平等にってことだよ!
ということで、裁判にもなるのです。
「価値が平等じゃないから憲法違反だ!」というわけです。
裁判所の判断
これに関して、裁判所の多くの判決は、
「違憲状態」、つまり、「憲法に違反している状態だよ、でも、無効にはしないよ。」
となっています。
「価値や重さが等しくなるように国会で話し合ってくださいね。」と
違憲(無効)としないのは、もし無効とした場合、格差のある地区だけでなく、”その時行った選挙が無効ですよ。”となるからです。そうなると現状の極端な話、永遠に”無効、無効”となり、無政府状態になってしまうため、国の運営が困ったことになってしまうのです。
この辺りの詳細はここでは趣旨がことなるので触れませんが、ご興味ある方は、調べていただければ、判決(凡例)や憲法のことが書かれていると思います。
まとめ
以上、わかりやすく簡単にポイントだけを押さえてきました。
あなたは、どのように考えますか。
この”1票の格差”の意味を少しでも知っていれば、選挙のあなた自身が持っている”1票の価値や重さ”がより理解いただけるのではないでしょうか。
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